理科の授業で困ってしまうことは、質問しても生徒が何も答えてくれないことではないでしょうか?
特に実験の後の考察では、なかなか意見が出てこなくて、授業が進まないことがあります。
指名しても「分かりません。」と言ったり、「考え中です。」と答えたりして、話し合いにならないこともあります。

かに先生は、考察の時間ってどう進めていますか?

どうして発言が出てこないのか、まずは原因を押さえようか。
なぜ、考察の時間になると子ども達がだまってしまうのか。
導入、予想、実験・観察では主体的、対話的に学ぶのに、考察の時間になると思考が停止してしまう。
議論にならず、先生が板書で結果をまとめ、生徒はそれを写す。
なぜなら「どうせ、先生がまとめてくれる」「どうせ、○○くんの意見でまとまる」と思ってしまうからです。
自分の考えを可視化せずに議論もしないで終わってしまうと、観察・実験が単なるエピソード記憶のための作業になってしまい、主体的・対話的で深い学びにならなくなってしまいます。
そこで、考察を機能させるには、生徒に「自分の考察には価値がある」というメッセージを伝えていくことです。

生徒には、紙、ホワイトボードに自分の言葉で書かせる
考察を話し合うまえに、生徒には自分の言葉で書くように時間を与えます。
○ 観察・実験から分かったことを自分の言葉で箇条書きにする。
○ 班でその考察を話し合い、班としての考察をホワイトボードに書く。
○ ほかの班への質問を出し合って、細かな差、表現の差を確かめる。
○ ホワイトボードを黒板に貼りだす。
○ 自分の考察を見え消ししてまとめる。(最初との違いが分かるように、色を変えたり番号を振ったりさせる。)
教師は学びの促進者(ファシリテーター)になる
先生は「教える」のではなく「考えさせる」というスタンスを崩さないようにします。エサをまつヒナのように生徒を甘えさせてはいけません。
○ 班での話し合いやプレゼンを促進する役割を演じる。
○ 考え方のちがう班を見つけて、発表で指名する班を決める。
○ 貼りだされたホワイトボードを使って、話し合いの様子を紹介する。
○ ホワイトボードの周りに、発表や質問の言葉をメモする。
○ ホワイトボードや周りのメモから、よい表現を選ばせながらまとめていく。
○ 自分の書いた考察を消さないように、自分の考えた考察に価値があることを伝える。
これからの教師はファシリテーションスキルを身につけましょう。話し合いを促進する者として

時間を刻み、時間を確保することで、生徒の学びを保障する
考察にはいろいろな方法がありますが、自分の言葉で書かせ、他人の意見から修正を加え、可視化させることが大切です。
頭のなかだけで発表させようとしても、できる生徒にしかできません。まずは、紙に書く時間を確保してあげるようにしましょう。

じゃあ、今回の実験から考えられることをワークシートに書いてみよう。時間は3分ね。
それから、ペアや班で共有する時間を確保してあげます。

班でお互いに書いたものをもとに話し合って、できれば一つにまとめてみよう。時間は5分ね。
ここまできたら、あとは先生のファシリテーションスキルです。時間をかけて交流させましょう。

じゃあ、班ごとにまとまったことを発表してください。時間は7分ね。どの班から行きますか?
参考:辻本昭彦先生(法政大学理工学部准教授)