カウンセリング基礎「安心して相談できる人」の見分け方

 カウンセリング

わたしたちは日々いろいろなことに悩みます。大なり小なり、悩みのない人はいないでしょう。

そして、それを解消・解決するための方法のひとつが「相談」です。

ただ必ずしもそれで悩みが解決しないこともあるわけで、そこには「相談の技術」というものがあります。

  

「相談する」とはどういうことか?

相談することは、私たちが日常生活で活かしている重要なスキルです。なぜなら、相談を通じて以下のような利点が得られるからです。

自分の状況を知ってもらう

相手に自分の立場や状況を伝えることで、心の負担を軽減するだけでなく、実際に協力してもらえる可能性も生まれます。問題解決の第一歩は、それを誰かと共有することです。

自分とは違った立場で見てもらう

自分だけで考えると、局所的な視点に囚われがちです。しかし、他者の視点を取り入れることで、問題や状況をより多角的に理解し、新たな解決策を見つけることができます。

協力してもらう・援助してもらう

一人で抱え込むよりも、他者と協力することで問題を解決しやすくなります。相談を通じて、他者からの支援や助言を受けることで、困難な状況を乗り越える手助けが期待できます。

感情の整理と解消

相談することは、自分の感情を整理し、解消するのに役立ちます。感情を言葉にすることで、相手からのフィードバックや助言を通じて、感情的な迷いや不安を解消する手助けになります。

自己理解と成長の機会

相談を通じて、自己理解と成長の機会を得ることができます。他者との対話を通じて自分自身の考えや感情を客観的に見つめ直し、自己認識を深めることができます。新たな気づきを得ることで、より成熟した人間として成長することができます。

相談することは、孤立感を打破し、新たな視点を得るための有力な手段です。身近な人に話を聞いてもらい、協力を得ることで、より充実した生活を送ることができるようになります。

上手に相談するための心掛け

上手に相談するために、次のようなことを心掛けましょう。

(1)相談することについてプラスのイメージを持つ

相談は、物事の解決を助けてくれるだけでなく、対人関係を広げ、また考える力を高めてくれるものです。世の中には「自分のことは自分で処理すべきである」「人に頼るのは恥ずかしいことだ」「少々のことは我慢すべきだ」といった意見もあります。しかし「他人の協力を得ながら解決に取り組む」ことは、それらよりもはるかに有益なことです。

(2)具体的な問題や要望を整理する

相談する前に、具体的な問題や要望を整理することが重要です。相手に伝えるために、何が問題なのか、どのような支援や助言を求めているのかを明確にすることで、相手がより効果的に対応してくれるでしょう。

(3)聞き手の立場や感情に敏感になる

相談をする際には、相談相手の意見や感情にも敏感になることが重要です。相手がどのように感じているのかを理解し、共感することで、より良いコミュニケーションが生まれます。また、相手の立場や考え方にも配慮することで、より建設的な解決策が見つかるかもしれません。

(4)オープンマインドを持つ

相談をする際には、オープンマインドを持つことが重要です。自分の考えや解決策に固執せず、相手からの異なる視点やアイデアを受け入れる姿勢を持つことで、より多くの選択肢を考えることができます。また、自分の見解を柔軟に変えることで、より効果的な解決策を見つけることができるでしょう。

(5)相談相手を見分ける

誰かに相談しようとするとき、その人が安心して相談できる人かどうかを見わけることは大事なことです。その方法は、実際に話してみる、というのが一番です。あまり深刻でない相談をしてみて判断の材料にするといいでしょう。

安心して相談できる相手はどんな人でしょうか?

みなさんの周りには、相談相手としてどのような人がいるでしょうか?

相談相手になってくれる人

  1.  家族、親戚
  2.  友人
  3.  学校の先生
  4.  養護の先生やスクールカウンセラー
  5.  行政やNPOなどの電話相談

相談内容によって相談相手も変わります。家族や友人など身近にいる人がいい場合もあれば、親戚やカウンセラーのようにふだん生活をともにしない人がいいこともあるでしょう。

先生やカウンセラーであれば、家族や友人のことも相談しやすいと思います。

直接顔を合わせないほうが話しやすい、LINEなどのSNSのほうが話しやすいという人には、いまは行政やNPOなどさまざまな相談先があります。

では、例えば同じ友人というくくりのなかでも、安心して相談できる相手というのは、どのような人でしょうか?学校の先生にも合う合わないはいろいろあると思います。

相談相手として安心できる人

  • 親身に話を聞いてくれる
  • 余計なお説教をされない
  • ほかの人に言いふらしたりしない
  • なんだか話しやすい
  • 落ち着いていて安心感がある
  • 言いたいことを分かってくれる

相談相手との関係性、相性もあれば、相談する時間や場所、期間、回数などの要素もあります。

世間話や雑談などのおしゃべりを通して、相談相手としてふさわしい相手というのを見つけておくようにしましょう。

いざ相談ごとができたというとき、手を差し伸べてくれる、言葉を返してくれる人がいると思えるだけでも、すこし安心感が湧いてきます。

  

まとめ

心の安全地帯を見つけることは、自己の成長や心の健康において極めて重要です。

しかし、安心して相談できる人を見分けることは容易ではありません。私たちは、過去の経験や周囲の人々の影響を受けて、相談することに対する不安や疑念を抱くことがあります。

それでも、相談を通じて支えを受けることは、孤独感やストレスを軽減し、新たな視点を得る助けとなります。

安心して相談できる人は、親身に聞いてくれるだけでなく、叱責や非難をせず、自分の立場を尊重してくれる人です。彼らは、ただ話を聞くだけでなく、建設的なフィードバックや助言を提供し、あなたの気持ちを理解しようと努めます。

安心して相談できる人を見つけるためには、まずは小さなことから話し始め、相手の反応や態度を観察することが大切です。

そして、あなた自身が安心して本音を語ることができるかどうか、心の奥底に問いかけてみてください。安心して話せる相手が見つかれば、心の重荷を分かち合い、新たな支えを得ることができるでしょう。