タブレットの学習教材で「自己調整力」を高める教師の10の問い

 教育用語

タブレットの学習教材をただ使わせるだけになっていないか?

GIGAスクール構想によって一人一台端末になりました。これを「文房具」として使っていくことが求められています。

タブレットにはさまざまなアプリが入れられています。管理している自治体にもよるでしょうが、ワークやドリルの代わりになるアプリもあります。

そして、これと並行して新学習指導要領では「個別最適な学び」が求められています。生徒一人ひとりが自分に最適な学習ができるようにしましょう、ということです。

  

しかし、先生方、ここでちょっと立ち止まって自問してみましょう。

これらを組み合わせて、ついついタブレットにインストールされている学習教材を使わせることで「個別最適な学び」をしているつもりになっていないでしょうか。

中央教育審議会の答申「令和の日本型学校教育の構築を目指して」で、「自ら課題を見つけ、それを解決する能力」「他者と協働する力」「自ら考え抜く学び」の重要性について書かれています。

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(中教審第228号) 【令和3年4月22日更新】:文部科学省

「個別最適な学び」は「指導の個別化」と「学習の個性化」に分けられます。さらに「学習の個性化」の中に「自己調整力」に関する記述があります。

  

自己調整力を育成するためには、生徒が選んだその学習は「本当に自分のペースなのか?」、また「本当に自分の選択なのか?」を、教師が質問することが大切になります。

「なぜそれを選んだのですか?」と一声かけることで、生徒が自分の学習に自覚的になっていくように仕向けます。

これらの問いかけによって、生徒は自分の方向とペースを調整するようになります。

  

生徒の「自己調整力」を高める教師の10の問い

1人1台端末の活用によって、個別最適な学びが可能になってきました。個別最適な学びをするためには、生徒の自己調整力を高めることがカギになってきます。

では、先生の役割として、どんな「問い」かけをするとよいのでしょうか。10個挙げてみます。

学習内容に関する問い

「なぜそれを選んだのですか?」

生徒が選んだ学習内容の背後にある理由や動機を理解し、自分の選択に自覚的になるため。

「この学習内容は、あなたの目標にどう関連していますか?」

学習の目的や目標との関連性を考えることで、学びの方向性を明確にするため。

学習プロセスに関する問い

「どのようにしてこの課題を解決しようと考えていますか?」

問題解決のプロセスを意識し、計画的に取り組む力を養うため。

「この学習活動をどのように進めていく予定ですか?」

学習の進行計画を立て、自律的に学びを進める力を身につけるため。

自己評価に関する問い

「この方法でうまくいっていますか?それとも他の方法が良いと思いますか?」

自己評価を促し、学習の方法や進行を振り返る力を養うため。

「どの部分が難しかったですか?どう対処しましたか?」

難しい部分を特定し、それに対する対策を考える力を育むため。

協働に関する問い

「他の人の意見をどう活用しましたか?」

協働の中で他者の意見を取り入れる方法を学ぶため。

「誰に助けを求めましたか?なぜその人にしましたか?」

助けを求める相手の選択理由を考え、適切なサポートを得る力を養うため。

振り返りと改善に関する問い

「次回はどのように改善しますか?」

振り返りを通じて次回の学習に活かすポイントを考えるため。

「今回の学びで何を得ましたか?」

学習の成果や得た知識を自覚し、自己成長を実感するため。

  

まとめ

「個別最適な学び」を促進するためには、教師が生徒に対して適切な問いかけを行い、彼らが自己調整力を養う手助けをすることが重要です。

  1. 「なぜそれを選んだのですか?」
  2. 「この学習内容は、あなたの目標にどう関連していますか?」
  3. 「どのようにしてこの課題を解決しようと考えていますか?」
  4. 「この学習活動をどのように進めていく予定ですか?」
  5. 「この方法でうまくいっていますか?それとも他の方法が良いと思いますか?」
  6. 「どの部分が難しかったですか?どう対処しましたか?」
  7. 「他の人の意見をどう活用しましたか?」
  8. 「誰に助けを求めましたか?なぜその人にしましたか?」
  9. 「次回はどのように改善しますか?」
  10. 「今回の学びで何を得ましたか?」

これらの問いかけを通じて、生徒が自らの学習に対する理解を深め、主体的に学びを進める力を養うことが期待されます。

教師が生徒と対話を通じて関わることで、生徒の自己調整力や協働力がさらに強化されます。

ただ「タブレットでやってみましょう」というだけでなく、これらを一言、声掛けしてみてください。