こんばんは、katooです。
かつて教育実習生を引き受けて、学級担任の仕事などを話したことがありました。
毎日放課後になると、教育実習生が「実習日誌」をもってくるので、私も手書きでコメントを返していました。
そのときの下書きがパソコンに残っていたので、公開したいと思います。
これから教育実習に向かう大学生、教育実習生の指導に行う先生の参考になれば幸いです。
4日目、教育実習生へのコメント
「教師はチームである」という意識を持ちましょう。
学校で行われる全ての教育活動には、必ず目的があります。
目的を達成するために、先生方の思いや願い、経験や知恵が合わさって、計画を立てています。
生徒指導も同様で、自分の役割に責任を持ちつつ、
多様な価値観を持ち、多面的なものの見方ができるように、
教員間でも謙虚に学ぶ姿勢が大切だと思っています。
ときに阿吽の呼吸で咄嗟に行われる指導の基盤に、チームワークがあります。
コメントの解説・意図
チームとしての意識
小学校の先生は担任一人で一クラスの全ての授業を受け持つので、チーム意識が芽生えにくいと、聞いたことがあります。
小中一貫校の先生方に話を聞くと、中学校の先生方のチームとしての動きを、小学校の先生が見習うようになった。とかですね。
中学校は複数の教員が複数のクラスを受け持つので、なおさらチームとしての連携意識が高まります。
学級担任としての責任もありますが、教科担任としての責任ももって、いろいろな教室に入ります。
たくさんの生徒のことを、それだけたくさん知っていることになるので、指導にも加わりやすくなります。
反対に、学級数が多くて、受け持ちでないクラスのことがなかなか分からないのが、難しいところ、困るところですね。
それでも、チームであることは変わりありません。
生徒が問題を起こした時には、A先生が叱ったならば、B先生はフォローします。
生徒がケンカをした時には、A先生とB先生が生徒同士顔の見えないところまで引き離します。C先生は野次馬になっている生徒を教室に戻します。
生徒がケガをした時には、A先生が生徒に対処し、B先生が養護教諭に連絡し、C先生が管理職に報告し、D先生は周りの生徒を落ち着かせます。
学年主任や生徒指導担当のもと、計画的に指導に入るときもあります。
もしいなければ、その場で判断できる先生が、みんなが判断できればそれはもう本当に阿吽の呼吸で、チームとして動いています。
そうするためには、教員同士が互いに信頼関係を築いておくこと、自分の得意・不得意を心得て、かつ自分の役割を遂行することです。
そこには、責任と謙虚さと行動力が求められます。
そして、それは頭で分かればすぐに身につくものではなく、生徒に対する多様な価値観、多様な見方ができるように、常に学ぶ姿勢をもち続けなければいけないのです。
目標の大切さ

もう一つの話、「全ての教育活動には目的がある」についてですが、これもまったくその通りです。
しかし、毎年同じ行事が繰り返されているので、職員会議の場では、「要項の1、目的については後でご覧ください。」などと言われて、省かれることも多いのです。
しかし、ここには非常に重要なことが書かれています。
どうしてこの行事(教育活動)を行うのか。
どんな方法で行おうとしているのか。
どこまで見通してやろうとしているのか。
生徒に対して、どんな生徒になってほしいと願いが込められているのか。
例えば、2年生が学習旅行に行くときには、
学級づくりが目的なのか(であれば、クラス写真を撮るなどの機会が必要になる)、
修学旅行の練習が目的なのか(であれば、班別行動や公共交通機関を使わせるようになる)、
職場体験も視野に入れるのか(であれば、事前指導の中で街の人にインタビューしてくるよう伝える)、
そのように考えると、指導内容や指導計画も変わってくることになるはずです。
以前に、素晴らしい学年経営をされる主任(今でも尊敬しています。)に、「どうしてこんなに感動的な行事になったんですか?」と聞いたことがありました。
「うん、目的だよ。今回の行事の目的をよく読んでみると、去年とほとんど同じなんだけれど、ちょっと変えたんだ。」
「そしたら、それを実現するためにはどうしたらいいのかって、次の計画や段取りが変わってくるし、生徒に話すことも変わってくるんだよ。」
「毎年同じだから、じゃなくて、時には目的からきちんと見直すことが大事なんだよ。」
そんな風に教えていただきました。
それ以来、職員会議の要項にあるいろいろな計画の「目的」には、しっかり目を通すようにしています。