みなさんは、性同一性障害の生徒をもったことがありますか?
わたしはこれまでの教員生活で、2人ほどの生徒をみたことがあります。
トランスジェンダーやLGBTQといった言葉が広まりつつあるなか、学校の中でも「ジェンダーフリー」について考える機会、話題にする機会が増えてきました。

かに先生、あの生徒のこと、どう思いますか?もしかして…。

うん、可能性はあるかもね。他の先生からも情報を集めてみよう。何か困っていることがないか、すこし意識して見ておこうね。

はい。わたし、保健の先生と体育の先生にまずは話してみようと思います。
性の問題は、教育現場でも非常にデリケートな問題です。
積極的に関与しても、本人や保護者の受け止め方はさまざまです。放置しても、いじめや不登校につながる可能性もあります。
ただ、生徒の一生に関わることです。学年主任や養護教諭などにも情報共有しながら、もし必要なら適切な支援をしたいものです。
性同一性障害とそのまわりの用語
性同一性障害
生物学的な性と性別に関する自己意識(以下、「性自認」と言う。)が一致しないため、社会生活に支障がある状態、そのために外科的手術による一致を望む状態。
性的マイノリティ
同性が好きな人や、自分の性に違和感を覚える人、または性同一性障害などの人を含む言い方。
トランスジェンダー
性自認と身体的な性が異なる状態のこと。状態であって病気や障害と捉えてはいない。
LGBTQ
性的指向(どんな性を好きになるか)がレズビアン、ゲイ、バイセクシュアルのことと、トランスジェンダー(性自認)、クエスチョニング(性を特定しない人)
カミングアウト
自分の性的指向や性自認を他の人に伝えること。
カミングアウトされたら「教えてくれてありがとう。」と肯定的に伝えましょう。
アウティング
カミングアウトをした本人の承諾なく、性的指向や性自認を他の人に漏らしてしまうこと。
カミングアウトされた人がだれかに相談したい場合、必ず本人に承諾を得ましょう。
性同一性障害は、その個別の課題やニーズに敏感に対応する必要があり、法的基準や教育の方針がこれにどのように対応しているかについて理解する必要があります。
性同一性障害と関連する法令や文書
性同一性障害は、性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律(平成15年7月)によると、
生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信をもち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意志を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているもの
と定義されています。この法律が性同一性障害者の権利保護を目指す一環となっています。
文部科学省からの周知資料(平成28年)
文部科学省が平成27年4月にだした「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」や、それをもとに作られた平成28年4月の「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)」に目を通すようにしましょう。
これらの文書では、性同一性障害者への適切なサポートや、教育機関での理解の促進に焦点を当てています。
まとめ
性同一性障害への理解と対応が進むことで、教育環境がより包括的で多様性を尊重するものとなりつつあります。
法的枠組みや指針が進歩するなか、これに伴った教育の進歩も不可欠です。先生方で研修会をもつなど、学校全体で理解と協力を得られるようにしていきましょう。

まだまだ偏見的な見方をする先生もいますからね。

わたし、校内研修会ができないか教頭先生に相談してみます。
これからも、性同一性障害者(児)が安心して学び、成長できる環境づくりに向けて、法的・教育的な支援が一層充実していくことを期待します。