見方や考え方を豊かにする言葉で、生徒の思考を深め、交流させる。

 理科の工夫・改善

実験結果の考察や、話し合いなど、理科の授業では考えさせる場面が多いと思います。

しかし「燃えました。」「色が変わりました。」など実験結果の事実だけだったり、「気体が発生したと思います。」「温度が変わったからだと思います。」など、結果から導かれるさわりの考えで終わってしまうことがあります。

「燃えたから何なのか?」「どうして色が変わったのか?」「気体が発生したと思う根拠は何か?」「温度が変わったらどうなるのか?」など、あと一言二言考えてほしい、書いてほしい、言ってほしいときは多いです。

えび先生
えび先生

うーん、実験のあととか生徒の言葉が足りないですよねー。

かに先生
かに先生

どうしたの?話し合い活動で悩んでいるの?

えび先生
えび先生

話し合いだけじゃなくて、考察を書くときも、もう少し深く考えてほしいのですけど…。

かに先生
かに先生

ふむふむ、じゃあ発問や質問のあとに、こんな風に付け加えてみたら?

このようなとき、生徒の表現を豊かにすることで、自分の考えを深めたり、話し合いをよりよくしたりすることができます。

国語の教科書に語彙を豊かにさせる言葉がありました。

光村図書のホームページに「掲示用ポスター『語彙を豊かに』」というのがありました。

国語の教科書資料ではありますが、理科の授業でも非常に有効だと思いますので紹介します。

これらは、軽井沢風越学園の甲斐利恵子先生によるものです。

中学校向けです。

授業に役立つ! サポート資料室 | 中学校 国語 | 光村図書出版
光村図書出版のウェブサイト。小学校・中学校・高等学校の教科書、デジタル教科書の情報や、授業・教材研究に役立つコンテンツ、連載コラムを掲載しています。

小学校向けです。

光村の「国語」完全活用ガイド | 小学校 国語 | 光村図書出版
光村図書出版のウェブサイト。小学校・中学校・高等学校の教科書、デジタル教科書の情報や、授業・教材研究に役立つコンテンツ、連載コラムを掲載しています。

他にも、深く考えてほしいときには「根底には」、話し合いの方向性を取り戻すときには「そもそも」、何を言いたいかわからないときは「つまり」、内容を端的につかみたいときは「ひと言でいうと」が使えると、国語の情報誌に紹介されていました。

理科で使えるように、少々見直したので、つぎに紹介します。  

見方や考え方を豊かにする言葉

1 考えるときの言葉

かに先生
かに先生

自分の考えを、つぎの言葉をつかって書いてみましょう。

① 比較する・分類する

  • ⃝⃝で分けると
  • ⃝⃝と比べると
  • 共通点は
  • 相違点は

② 原因と結果

  • ⃝⃝によって
  • ⃝⃝が原因で
  • ⃝⃝が△△をもたらす
  • ⃝⃝は△△だからだ

③ 根拠を述べる

  • なぜなら
  • その根拠として
  • そのように考えたのは
  • ⃝⃝に基づいて

④ 結び付ける・組み合わせる

  • ◯◯と△△を合わせると
  • ◯◯と□□をつなげて考えると
  • ⃝⃝は□□に比べて 
  • ⃝⃝に□□を加味すると
  • ⃝⃝と□□を満たすには

⑤ 緻密に考える

  • 正確には
  • 隅々まで見ると
  • 論理的には
  • 厳密には

⑥ 具体化する

  • 例えば
  • 具体的には

⑦ 抽象化する

  • つまり  
  • すなわち
  • このように

⑧ 焦点化する

  • ◯◯に注目すると  
  • ◯◯という点では
  • ⃝⃝に関しては
  • ⃝⃝に絞ると

⑨ 視点を変える

  • 言い換えると
  • 見方を変えると
  • ⃝⃝の視点に立つと

⑩ 視野を広げる

  • 全体を見渡すと
  • 長い目で見ると
  • 俯瞰してみると
  • 長期的には

⑪ 大きく捉える

  • 要点は
  • 全体としては
  • 重要なことは

⑫ 本質に迫る

  • そもそも
  • 本を正せば
  • 根底には
  • その背景には

2 伝えるときの言葉

かに先生
かに先生

発表のときは、最初と最後にこういう言い方ができるといいね。

① 考えたことを述べる

  • ○○と考えられる。
  • ⃝⃝が疑われる。
  • ⃝⃝と推定される。
  • ⃝⃝にちがいない。

② 数字を基に伝える

  • ◯◯を越える。  
  • ◯◯に満たない。
  • ◯◯に達する。
  • ○○倍になっている。
  • ○○ずつ増えている。

③ 表やグラフを基に伝える

  • 全体の傾向として、  
  • 最も大きな変化は、
  • ◯◯を境に、
  • 少しずつ○○している。

④ 本の記述を基に伝える

  • ⃝⃝と記されている。
  • ⃝⃝は□□と述べている。
  • ⃝⃝の考えでは□□だ。

⑤ 写真や絵を基に伝える

  • ⃝⃝が写っている。
  • ⃝⃝が描かれている。
  • ⃝⃝が□□を表している。
  • ⃝⃝から□□を伝えている。

⑥ 考えの正確さを伝える

  • ◯◯かもしれない。
  • ◯◯が疑われる。  
  • ◯◯と推定される。
  • ◯◯にちがいない。

⑦ 特徴を取り上げる

  • メリットは  
  • デメリットは
  • その点において、◯◯は……だ。

⑧ 情報の条件を示す

  • ⃝⃝年の調査によると
  • ⃝⃝が対象の調査から 
  • ⃝⃝が発表した情報では
  • 広義(狭義)には

⑨ 全体について述べる

  • 総合的に見て
  • 全体の雰囲気が
  • ⃝⃝と□□のバランスが

⑩ 背景について述べる

  • ⃝⃝の背景は、
  • ⃝⃝のテーマは、
  • ⃝⃝の価値は、
  • ⃝⃝の理由に着目すると、

⑪ 焦点化して評価する

  • ◯◯の良さは、□□にある。
  • ◯◯と□□のバランスが、……だ。
  • ⃝⃝の点で、□□は最適である。
  • ⃝⃝については、□□が条件である。

3 交流するときの言葉

かに先生
かに先生

司会役を中心に、みんなで使ってほしい言葉だよ。

① 話題を確認する

  • 今日のテーマは、
  • 話し合いの目的は、
  • 前提となる○○の定義は、

② 話を広げる

  • さらに、
  • 加えて、
  • 他にも、
  • ○○に関連して、

③ 話題を変える

  • さて、  
  • ところで、
  • 話は変わるが、
  • それはそうと、

④ 考えを引き出す

  • ○○はなぜか。
  • ○○について詳しく教えてほしい。
  • ○○についてはどう思いますか。

⑤ 意見を受けて返す

  • ○○に賛成(反対)です。
  • ○○という点では同じ考えだが、
  • ○○とは別の視点で、

⑥ 話をまとめる

  • したがって、  
  • 以上のことから、
  • 総合すると、
  • ここまでの話では、
  • まとめると、