中学校2年理科、大気圧に関する学習のヒントです。
大気圧の海面での平均値は、1013.25hPaと教えます。これを1気圧といいます。
6ケタの数字を覚えるのが難しければ、1013hPa。それも難しければ、とりあえず1000hPa程度と覚えてほしいと思います。
では、1000hPa、つまり1気圧とはどんなものなのか?
中学2年生の生活経験からすると、まだ難しいかもしれません。
1気圧は重さでいうと、どのくらいか?
まず、1000hPaという数字には実感がありません。大気圧をカラダで感じる経験は少ないので、重さで伝えてみます。
空気の重さでいうと、どれくらいなのか。

1気圧は、空気の重さでいうと10tになります。
みんな、10tって持てますか?
いやいや持てるわけがない。
10tってパッと聞いただけではピンと来ませんが、「t(トン)」をつかっているくらいだから、結構な重さなんだろうなと予想はするでしょう。
そこで、10tがどれくらいか想像させていきましょう。
1気圧は10t/m2に相当することを計算で示す
はじめに、1気圧が10t/m2であることを示していきます。

1気圧はおよそ1000hPaだったよね。
じゃあ1000hPaってどのくらいの力なの?
重さで言ったらどれぐらいなの?
ここから板書していきます。Paは圧力の単位で、力の単位はNで、重さの単位はkgです。
単位の変換がメインになりますので、復習も兼ねて、ゆっくりいきます。
1気圧 = 1000hPa
1000hPa = 100000Pa (1hPa = 100Pa)
100000Pa = 100000 N / m2 (1Pa=1 N / m2)
100000 N/m2 = 10000000 g/m2 (1N=100g)
10000000g/m2 = 10000kg / m2
10000kg / m2 = 10t / m2
(m2=平方メートル)
これで、1気圧=10t/m2という結論に至ります。1平方メートルに10tの空気の柱が立っているわけです。
特に計算はしていませんね。単位を変えて、接頭語を変えているだけです。
1m2の大きさに貼り合わせた新聞紙または画用紙を、子どもたちに示します。

1m2はこれくらいです。この上に10tの空気の柱があるのです。
よっこいしょ!先生でも持てました!
子どもたちは笑うと思いますが、ジェスチャーを入れて、上を見ながら画用紙を持ってみましょう。
おおよその数字ばかり使っていますが、でも理屈上、こういうことになります。
そこで次はこう聞いてみます。

じゃあ10tってどのくらい?
子供たちが想像する重いものって何でしょうか?探してみましょう。
10tを身の回りのもので探す
Mクラスのミニバン(ノア、ヴォクシー、ステップワゴン、セレナ)などが、およそ2tです。(グレードや年式にもよりますが。)10tというのはミニバン5台分です。縦に5台重ねて想像してみましょう。

もうちょっと身近なところだと、500Lの大きめの冷蔵庫が100kg=0.1tです。冷蔵庫100個重ねたら10tです。

はい、車5台も、冷蔵庫100個も持てる訳ありませんね。想像できました。
10t背負ってて、どうしてつぶれないの?
ただ、これで終わってはもったいない。

ええ?でも先生はいま10tの空気の柱を持ち上げてみせたよ。
みんなも10tの空気が乗っかっているのつぶれてないよ?どうして?
そう、どうして私たちは10tの空気を背負いながら生きていられるのでしょうか?大気の重さに押しつぶされてしまわないのでしょうか?

ええ?それは、えっと…
(えび先生が怪力だから)
と、興味をさらにもたせたところで終わりにします。この記事もここまでにしようと思います。
大気圧はスケールが大きすぎてなかなか実感しにくい単元です。いくつかの実験・実習をやりながら、少しでも実感を持たせていくのがよいと思います。