【防災教育】授業で災害の映像を生徒に見せた後に話すことは?

 防災教育

毎年、いろいろなところで災害が起きています。

地震、火山の噴火、台風、豪雨災害・・・。

これだけ続いてしまうと、日本はいったい全体どうにかなってしまうのではないかと不安にもなります。

ここでは、発災まもなくしてからの実践(実話)を紹介します。

 

防災の話は教育課程にとらわれずにタイムリーに行う

そして、こういった災害発生時には、新聞やニュース動画を資料として「防災」について話をしています。

当事者であれば悠長なことは言っていられませんし、相当な配慮も必要になります。

しかし、東日本にしてみれば西日本の出来事は遠いことのように感じてしまうものですし、西日本の方にとっては東日本での災害は遠いように思えるでしょう。

 

遠くの災害をテレビ等で知ることは可能ですから、タイムリーな話題を出せば生徒たちも興味を持ってくれます。

教育課程としては、3学期の学習に関連領域を扱うことになります。1年生は地震・火山、2年生は気象、3年生は自然災害があります。(新学習指導要領では取り扱いに変更があります。)

しかし、実際の災害が3学期に起きるなんてことはありませんので、ここでは教育課程にとらわれないようにします。

生徒がつぶやいた「たった一言」を逃さない

2016年2月5日、桜島の噴火の動画を見せました。

東日本にいる中学生にとっては、遠い国の出来事のように桜島の噴火のニュースをTVで見ていました。親戚が住んでいるわけでもないので、他人事のようにも感じられます。

実際に見せたものとは違いますが、参考までにYoutubeの動画を一つ紹介しておきます。

 

テレビを生徒たちは食い入るようにニュース映像を観ていました。

そして終わりの「火山雷」の場面で、一人がぼそっと…

「かっこいい…」

とつぶやきました。

それを狙っていたわけです。聞き逃してはいけません。

 

災害映像を観せた後に話すこと

動画終了後に次のように話をしました。

実際に言った生徒を直視すると、目で責めることになるので気をつけましょう。

むしろそういった発言を受容する、温かい雰囲気、口調で話すことが大切です。

今回は火山の瞬間を観てもらいました。あの火山のなかで見えた光は火山雷といいます。

ふつうの雷は、雲のなかで氷同士がぶつかって静電気が生じて雷として落ちてきます。

それに対して、火山雷は噴火によって細かい岩石同士がこすれて静電気ができることによって起きる現象です。

 

観ていると、かっこいいとか、すげーとか、思うよね。

でもね、忘れないでほしいことがあるんだ。

あの火山の下には、住んでいる人の生活があるんだってこと。

車に火山灰が降り積もっているシーンがあったけど、それだけじゃないんだよね。

家や畑がダメになったり、家を捨てて避難しなければならなくなったり、あそこにいる人たちはいま大変な思いをしているんだよ。

 

思うのはいいよ、つい口に出るのも仕方ない。

でも、そういう被災した人たちを思いやることも忘れないでほしいな。

自然について勉強するのが理科だけど、そこに人としての思いやりはいつでも持っていようね。

対象学年や学級の雰囲気によって、言い方や言葉は変わるかもしれませんが、さいごの人としての思いやりを忘れないことを強調しましょう。

生徒の感性と感受性を否定はしません。受容します。自分だってカッコいいと思ってしまったからです。

そこは否定せずに、受容しつつ、忘れている視点をポンと一つ示してあげるのです。それだけで、生徒には響くと思います。

 

このあとは、学年・学級の実態に応じて、防災に関する話をします。

例えば、家族で避難場所を決めているか質問します。(ちなみに、生徒はそもそも避難場所・避難所に指定される学校にいます。心配なのは仕事に行っている大人のほうです。)

あるいは、防災かばんは準備してあるか聞いてみましょう。(賞味期限切れの食料が入っていないか、少なくとも半年ごとに確認するように声をかけましょう。)

他にも、通信・連絡手段は決めてあるか聞いてみます。(固定電話、携帯電話、SNSでそれぞれ連絡先を確認しておくと、家族で合流しやすくなります。SNSはアカウントやパスワードなど覚えていますか、ふだん使っている端末が使えなくなっても大丈夫でしょうか。)

防災の授業でもなければ長々と話せませんが、タイムリーなニュースを遠くの出来事と捉えてしまっているときだからこそ、足元の、つまりは自分たちのことを振り返らせるようにして話を終えます。

 

各被災地のみなさまのご無事と、一日も早い地域の復旧・復興を願っています。