【理科室】備品、消耗品を買うお金はどうする?理振を当てるには?

 理科主任として
あみ先生
あみ先生

ふぅー、やっと理科室の片付けが終わりましたね。

かに先生
かに先生

準備室の実験台がこんなにスッキリする日が来るなんて・・・(*’ω’*)

理科室にはさまざまな物があります。

「ある」で済めばいいのですが、ときには「あふれている」こともあります。そして時には「ない」こともあります。無いはずはないので、本当にないと(今までどうやっていたのだろう?)と驚いたりします。

さて、表題の備品や消耗品を揃えるというときの「揃える」には2つの意味があります。

1つは「足りないものを補う」という意味で、もう1つは「違うものを同じものにする」という意味です。

ここでは、1つ目の「足りないものを補う」ためのお金について、大切かつ必要な考えを紹介します。

 

理科にはお金の出どころがちがう消耗品と備品がある

理科室のものには、大きく2つのものがあります。

「消耗品」と「備品」です。

では、「消耗品」と「備品」のお金はどこから来て、どこへ出ていくのでしょう。

消耗品は弾力的に使える

1つは「消耗品」です。こちらはすぐに消費するものです。

備品のように何年も使えるものではなく、その年のうちに使い切ってしまうようなもの、理科で言えば各種の薬品や指示薬、ビーカーや試験管などですね。

生き物(オオカナダモ、メダカ、手羽先、イカなど)やラジオ用天気図用紙、割りばしや紙コップなどもですね。

予算の出どころとしては、学校で自由に使える(もちろん授業等に使うのですが)ように割り振られている予算、「教授用教材費」があります。この予算は、教科で取り合いになったりもします。わたしの経験上、大抵とり合うのは理科と体育と音楽です。

生徒からは「実験・実習費」などの名目で1人につき数百円集めていると思います。学校の規模、生徒数によって額は違いますので、確かめておくと良いでしょう。

集金額を一度下げてしまうとつぎに上げるのは難しく、値上げするにはそれなりの根拠が必要です。そのため、なかなか変わることはありません。

生徒から集めたお金ですので、生徒一人ひとりが使用するもの、生徒が自分で使用するものを購入するときに使います。

 

備品はきちんと管理する

もう1つは「備品」です。その名のとおり、学校に備えられているものということです。

公立学校は都道府県や市町村といった地方公共団体(自治体)が設置者ですので、学校そのものはもちろん、そこで使用するものは自治体の所有物となります。

簡単に言えば、教育委員会から予算が割り当てられ、購入したら他と区別するために備品シールが貼られ、備品台帳で管理されるものというイメージです。

もうすこし言うと、備品は固定資産であり、数年間に渡って減価償却していくものです。ですので、1年でもう使わなくなるとか許されません。このへんの事情は事務職員の方に聞いたほうが正確だと思います。

 

自治体ごとのルールを把握しておく

自治体によってルールは違うと思います。また年度によって段々と弾力的にもなっていくように思います。

うちの自治体の場合、以前は「理科では2万円以上のものが備品で、それ以下は消耗品です。」と言われていましたが、最近は「10万円以上で備品です。」というように変わりました。

1万8千円のものを買いたくても、消耗品扱いなので予算不足で買えない、ということがよくありました。企業努力で教材が安くなるのは有り難いのですが、安くて買えないというマヌケなジレンマがよくあったのです。

だからといって「2個入りの商品で、1つ3万6千円です。」と言ったら、「いや、1個あたりだと2万円切っているから。」と却下されたこともあります。

 

事務室とは仲良くしておこう

事務室にいる事務長さんとは仲良くなっておくと、いろいろと教えてもらったり、声をかけてもらったりできます。

理科に限らない備品の例だと、以前テレビが欲しいと言ったら「32インチしか買えないよ」と言われたのですが、数年後に言ったら40インチが買えるようになり、昨年あたりから50インチも買えるようになりました。

デジタル顕微鏡やDVD、ブルーレイを視聴するばあいには、やはりプロジェクターではだめで、テレビがいいです。それもできるだけ大きいほうがいいと思っています。

大事なことは、高額なものでも諦めずに何度かお願いしてみることだと思います。そうすれば事務の方でも覚えていてくれて、予算ができたとき(余ったとき)に声を掛けてくれます。

特に「理振」の要求が通らなかったときは、事務長も目を通しているので声をかけてもらえます。事務室にはちょくちょく顔を出して、仲良くなっておくといいです。有り難いです。

 

理科室の備品を充実させる「理振」とは?

もう一つ、忘れてはならない「備品」があります。

「理科教育振興法」によって配分された予算で買ってもらう備品です。国に申請して国の補助を受けて整備する「理科教育等設備整備費」と、国から地方交付税交付金を受けて地方自治体が独自の事業として行う「理科少額設備費」の2つがあります。

現場で意識するのは、前者の「理科教育等設備整備費」です。

「理科教育等設備整備費」は、小学校では1個1万円以上、中学校では2万円以上、高等学校では4万円以上の備品を買うことができます。

よく「理振で買ったもの。」などと言っています。

これで買ったばあいは、理振台帳という台帳で管理・整理しています。自治体で買ってもらったものとは区別しなくてはいけません。今はデジタル化されて、Excelファイルで処理しています。

科学を伝えていく 公益社団法人日本理科教育振興協会
公益社団法人日本理科教育振興協会は小学校、中学校、高校の理科・数学の教育の振興につとめ、科学を伝えていきます。
理科及び算数・数学教育のための設備の整備:文部科学省

 

「理振」はふだんの自治体経由の予算ではなく、国から直接買ってもらえるので、この予算がつくと理科室が充実します。

しかし、理振の予算は、すべての学校に配分されるのではありません。限られた予算ですので、予算が配分されるかどうか当たり・ハズレがあるのです。

さて、最後の話はこの「理振」の当て方についてです。

 

「理振」を当てるには要らないものを捨てること!?

理振の予算は、国から配分される予算で、理振台帳で管理することは述べたとおりです。

理振台帳をよく見てもらえると分かるのですが、「品目別整備状況一覧表」というのがあり、理科ではこれぐらいの備品は揃えておくようにという指針があります。

例えば「生徒用顕微鏡は◯◯台」などという感じです。

そして、それを揃えるのにかかる費用(A)も載っています。

また、学校には今までに買った備品の費用(B)が台帳に記録してあります。

この二つから、現有率(B÷A)が求められます。

物が揃っていない学校は現有率が低い、というわけです。

そして、理振台帳を提出すると、それをもとに自治体か国の方で判定をしてくれます。その現有率が低い学校に優先的に予算が配分されることになります。

現有率が低い=物がない=十分な授業ができない、という考えなのでしょう。

では、どうして現有率が変化するのか。

それは、理科の先生がちゃんと報告しているからです。

壊れた…。古くなった…。足りなくなった…。

実は、そういうことをちゃんと台帳に書いているかどうかなのです。

 

「壊れたけど、まぁいいか。」「古くなったけど、まぁいいか。」などと放置するようにしていくと、理科室にはガラクタだけが溜まっていきます。

使っていようがいまいが、壊れていようが汚れていようが、買ったことにはなっていますから、現有率は高いままです。

これでは、予算が付かないということになります。

 

これまでも理科室の片付けのなかで、かなりの備品を廃棄処理してきました。

国で買ってもらったものですから、勝手に棄てることは許されません。事務長にちゃんと正直に話して、手続きをしてもらいました。

「いやーさすがに昭和40年の標本はカビが厳しいです。」

「あのーこれ、冷温機ってなってますけどただの木箱です。」

「すでにありません。どんなに探してもありません。以前の先生が廃棄手続きをしなかったせいで、無いのに有ることになってるんです。」

そんな感じですね。

 

そして、きちんと廃棄すれば、台帳の現有率が下がるので、新たに予算がつくようになります。

「理振が当たりました!」という事務長の声が聞こえてきます。

面白いのは、どこでその情報を得るのか、業者さんがカタログを抱えて営業に押し寄せてくることです。 

さて、理科室から要らないものがなくなってきたところで、次の仕事へすすみましょう。

かに先生
かに先生

もう少しで、理科準備室でコーヒーを飲むというボクの夢が叶う…。