教師としての修行だと思ってゼロ秒思考を続けています。 今年で4年目に入りました。
毎日10枚書けてはいません。1枚も書かない日もあれば、20枚近く書く日もありました。
それでも続けていくなかで成果も感じるようになってきました。いくつか実感できることを挙げてみます。
メモから新しいメモが生まれるようになった
私は読み返しながら、読み返したことをマーカーでチェックしているのですが、 メモを読み返したときに気がつくことがたくさんあります。
それと同時に新しいタイトルが頭にどんどん浮かんで来るので、書くべきメモがどんどん生まれてきます。
それについて書けばまたそのことについての思考が深まります。いわゆる「深掘り」ができてくるのです。
深掘りして行きつく「底」というのもありますし、そこから全然ちがう「横穴」を見つけることもあります。
雪だるま式に思考が深まるのは面白いものです。
メモからタスクが生まれるようになった
課題を解決するために、どんなことをするかという具体的なアクションがどんどん生まれてきます。おかげで仕事がどんどん進むようになります。
それらのタスクは思いついたときに、教師手帳のToDoリストに書き込んでいきます。
大きな仕事についてはプロジェクト化して、そのページに思いついた順にとりあえず書いておきます。
いつやるか決まっていなくても、書いておけばあとでスケジュールの中に組み込むことはできます。
整理するのは、状況に応じて手帳やパソコンで行います。
メモを書いた直後に、メモ紙そのものにチェックボックスを書いてしまうこともあります。
読み返したときにも(あ、これはタスクだな)と思ったら四角を書いています。
それから手帳に転記することで、せっかくの気付きや発想を漏らさないようにしています。
かなり即断即決ができるようになった
一瞬で決断を下すことがゼロ秒思考の目指すところだと思いますが、それに近いことが増えてきました。
ためらうことが少なくなり、躊躇する時間が短くなりました。最近だと次のようなことです。
「来年の理科のワークはどうするか?」
どんなワークがいいのか自分のなかで判断基準が明確になっているので、たくさんのサンプルを前に悩むことがなくなります。
「仕事中に子供の迎えを頼まれた。どうするか?」
自分のなかで優先事項(価値観)が明確になっているので、仕事と家族のどちらを優先するか決断できます。そして相手にできるだけ迷惑をかけないように即座に対応できます。
「参加したい研修会がある。自腹ででも行くか?」
わざわざ自分のお金と家族との時間を使ってまで研修会に行くことは、費用対効果を考えてしまいますが、その判断が一瞬でできます。自分の背中を自分で押せるようになります。
行くと決めればさまざまな準備や勉強のタスクが発生しますから、それについてもゼロ秒思考を行います。
行かないと決めた場合でも、しっかりとゼロ秒思考していれば後悔することはありません。行かないことによってできる時間を別の価値あることに使えるはずです。
ネガティブな感情が消え、冷静さを取り戻せる
イライラすることは誰にでもあると思います。どうして言うことを聞かないのか。どうして言っていることが分からないのか。なぜそんなことをするのか。なぜこんなことになってしまうのか。どうしてもイライラしてしまうことがあります。
その際に、それを包み隠さずゼロ秒思考することで、ネガティブな感情がかなり落ち着いてきます。どうして?と思っている時点で、それがタイトルになっています。「どうして私の話を聞いてくれないのか。」そのまま書いてしまいます。
書いてすぐに読み返すことで、ネガティブ思考に陥っている自分に気が付くことができます。そして続けて「どうしたら話を聞いてくれるか。」という一歩前向きなメモを書くことで、ネガティブ思考から抜け出すことができます。紙とペンを出す時間も含めれば、ここまでで約3分です。
3分はかかりすぎと思うかもしれませんが、この積み重ねは脳の回路を作り変えます。頭の中でゼロ秒思考ができるようになります。イラっとした瞬間に頭の中にA4裏紙を出して脳内メモを始めます。1分以内には落ち着けるようになるでしょう。
アンガーマネジメントによると、怒りの感情は6秒しか続かないそうです。ゼロ秒思考トレーニングを続けていけば、頭の中に6秒以内でA4裏紙とペンをイメージすることは可能なはずです。そしてそれをイメージした瞬間に怒りが収まり始め、冷静になっていくようになります。
ちなみに私は、教室の教師用机の引き出しにもA4裏紙を貯めこんでいます。もちろん書きなぐったらすぐに仕舞って見られないようにします(笑)
他の人(先生、生徒)に渡すこともある
先生や生徒から相談を持ち込まれることがあると思います。生徒指導の悩み、生徒の悩み、それらを聞いて自分なりに考え、メモ書きをします。そしてそれを見せながら、相手に説明をしていきます。
先生から「どうしましょうか?」「どうしたらいいですか?」と相談されることが時々あります。
保護者に連絡するときに電話でなんて言えばいいか、例えばのセリフをメモすることもあります。欲しいと言われればメモ紙をあげることもありますし、一旦貸して後で返してもらうこともあります。
口頭で説明して事足りることもありますが、複雑な問題は紙に書いてあるほうが相手も反芻できて理解が深まります。
生徒相手だと面談をしたときにしっかりと伝えたいと思ったことは、ゼロ秒思考メモを即興で書いて渡すことがあります。
例えば、高校入試の面接練習です。面接練習をしながら気付いたことを速攻でメモします。練習の終わりの指導の段階では、それを見ながら話すことができます。
先生からの助言は、本来は生徒が自らノート等にまとめるべきかもしれません。しかし生徒のことを考えれば、その場で書いて渡してあげたほうが負担が減りますし、反芻できるようになるので確実です。
質疑応答に強くなる想定問答集ができる
上のように、普段は1対1や1対少数での質問に答えるときには、ゼロ秒思考をその場で行うこともできます。
しかし、大勢の方からいろいろな質問が飛んでくるような仕事、ゼロ秒思考メモを出せない場面もあると思います。
例えば、大勢の前でプレゼンする場合やポスターセッションに参加する場合、会議でアイデアを提案する場合、試験のときの面接・面談、マニュアルづくりを頼まれた場合など、いろいろな質問を受ける機会があります。
そのときの質問をタイトルにして、答えをゼロ秒思考していきます。これを繰り返すと、いわゆる想定問答集ができあがります。
ゼロ秒思考メモは汚い字なので必要があれば清書をします。 マニュアルのFAQをつくるときにはパソコンで打ち込まないといけません。
時間があれば、考えられる質問にうまく答えるためのスライドを追加で作ったり、原稿を書き直したりすることで、その質問(疑問)を生ませないようにすることも可能です。本編用のスライドとは別に、質疑応答の時間用のスライドを作っておくのもいざという時に便利です。
少なくとも一度は考えてある。深掘りしてある。考え尽くしている。と思える状態になっていれば、かなり自信がつきます。そのため、ゼロ秒思考による想定問答はプレゼンや面接の直前までやり続けることが多いです。
ビジュアルで浮かんだらそのまま絵を書く
ゼロ秒思考メモは文字が基本なのですが、ときどきビジュアルで浮かんでくることもあります。そんな時には、それも遠慮なく書いてしまいます。
例えば学級劇や生徒会劇のシナリオを考えるときです。どんな劇にしようか考えていると、いろいろな場面が浮かんできます。それを文字で説明するのは面倒です。まずはラフな落書きのような絵を描いてしまいます。
それを並べ替えながら、ストーリーを組み立てていきます。それからストーリーの深掘り(セリフやト書きなど)をしていくようにします。
生徒に説明するときには、その落書きのような絵を見せながら話します。汚くても何もないよりもイメージしやすいですし、生徒からもさまざまな意見が出てきます。
また、プレゼンテーションのスライドを1枚ずつ書くこともあります。スライド1枚の構成を考えるときも、どういう順番で見せるのか考えるときも、共同作業している他の人に説明するときも楽になります。
ポスターセッションの準備をするときには、ポスターのデザインを描くこともあります。この場合も頭に浮かんだものを落書きのように一気に描いてしまいます。何枚も思いついたものを描いていくうちに、しっくりくる1枚が出てきます。
ちなみにビジュアルで描くというときにも「1枚1分」というルールを守ります。それを元にして、さらに思考を深めていく=ゼロ秒思考メモを書いていくわけです。
まとめ
もともといらない紙なので、ゼロ秒思考から離れて、計算したり、落書きしたり、紙飛行機にしたり、丸めたり、破いたり、好きに使っています。
カバンにもA4裏紙は持ち歩いています。職員室や教室、書斎やリビングや寝室、ゼロ秒思考をやれそうな場所にはA4裏紙とペンを置くようにしています。
ゼロ秒思考はやってみないと、続けてみないと、その効果が信じられないものだと思います。ルールも道具もシンプルなので、ぜひ皆さんも始めてみてください。私もさらなる成長を信じて続けていこうと思います。