NLPとは、神経言語プログラミング(Neuro-Linguistic Programming)の頭文字をとったものです。
日本NLP協会によると、「心理学と言語学の観点から新しく体系化した人間心理とコミュニケーションに関する学問」であるそうです。
NLPのなかの4つの「学習スタイル」を授業改善に役立てるために、優位感覚テストを公開しました。
今回はダウンロードしなくても済むように、PDFの内容をここに記載しておきたいと思います。
さらに調べて分かったことも追記して、より詳しい助言になるようにしていきます。
まだテストをやっていない方は、こちらの記事をご覧ください。
ここで紹介しているのは、NLP(神経言語プログラミング)でいうところの4つの「学習スタイル」であることに留意してください。
NLPでは「視覚」「聴覚」「体感覚」という3つの優位感覚(VAKモデル)を「代表システム」と呼んでいます。
しかし、学習の場面ではこれら3つの優位感覚に当てはまらない生徒がいます。
そうした生徒を網羅して、拡大したものが「言語感覚」を加えた4つの優位感覚(VAKADモデル)が「学習スタイル」であるということです。
VAKモデルの文献・サイトは多くありますが、VAKADモデルについて書かれた文献・書籍は少ないようです。
そのため、先生方がVAKモデルだけを考えていると、そこから漏れてしまう生徒がいることに気を付けていただきたいと思います。
視覚優位(Visual)について
視覚優位の特徴
・目線は上に向けがち。
・胸の上半分で呼吸する。
・上体や頭を直立させたまま、座ったり、立ったりする。
・椅子には、上体を前にのり出してすわる。
・身なりはきちんとしていて、整理整頓を心がけている。
・見た感じを大切にする。
・外見に心を動かされやすい。
・モノを記憶するときには、図や絵にして覚える。
・騒音に気持ちを乱される度合いが低い。
・やせ型で筋肉質である。
・いくつかのまとまった言葉を早くしゃべる。
・しゃべるときには「ああ」「え~」が多く入る。
視覚優位の学習効果を高めるために
絵や図で全体像をとらえるのが得意なので、スライド、イラスト、チャート、フラッシュカードなど図を使うようにしましょう。
資料を読んだり、ノートをまとめるときは、蛍光ペンなどで色をつけてみましょう。
色分けやチャートづくり、絵や図を描くのも効果的です。
言葉のつづりや歴史上の事実を覚えるときは、イメージ化して覚えましょう(目で見てビジュアルが頭に浮かぶようにすること)。
フラッシュカードや単語カード、絵の描いてあるカルタなども覚えるのに有効です。
言葉で出される指示がなかなか覚えられないので、なるべく紙に書いた指示をもらうようにします。何でもメモを取るくせをつけるといいでしょう。
聴覚優位(Auditory)について
聴覚優位の特徴
・目を左右によく動かす 。
・胸の中ほどで呼吸する。
・ひとりごとをよく言う。
・言葉で伝えられたことをそのまま繰り返すことが簡単にできる。
・音楽が好き。
・電話で話すのが好き。
・ステップごとに手順をふんで、順番に記憶するのが得意である。
・自分のことを「話してもらう」のが好き。
・声の調子や言葉に反応しやすい。
・いくつかのまとまった言葉を早くしゃべる。
・しゃべるときには「ああ」「え~」が多く入る。
聴覚優位の学習効果を高めるために
聞いて学習することが得意なので、読書などは、録音したテープを聴いたり、発話・音読したりするようにします。
授業や講義などで、先生の話をよく聞くようにしてメモすると効果的です。
また騒音があると集中できないため、勉強するときには静かな環境を整えましょう。
議論に参加するなどして学習したり、何かを読んだときには、要約を録音したりしましょう。 単語のつづりや講義については、友達と一緒に問題を出し合いながら覚えるといいでしょう。
単語集など、音声CD(動画)を聴きながら、綴りと照合させるのも有効です。
体感覚優位(Kinestic)について
体感覚優位の特徴
・胸の底の方で呼吸をするため、呼吸とともに腹部がふくらんだり、へこんだりするのが見える。
・動いたり話したりするスピードがとてもゆっくりである。
・具体的に感触のあるものや、身体の触れ合いに反応しやすい。
・人の近くに立とうとする(パーソナルスペースが狭い)。
・何かをしたり、からだを動かしたりすることで記憶する。
・「感触」や「感じ」で物事に興味をもつ。
・落ち着いたしゃべり方、長く複雑な文を話すことができる。
体感覚優位の学習効果を高めるために
実験やロールプレイなど体験を通して覚えます。自分の経験と結びつけるようにしましょう。
また単語のつづりや、歴史上の事実などを覚えるときは、文章を指でなぞりながら覚えます。歩きながら音読するなど、体を動かすのも有効です。
覚えなければならないことは、身体を動かしたほうが覚えやすいため、何度か実際に書いてみるといいでしょう。
学習をより深めるために、コンピュータを使うのも効果的です。
単語カードを並び替えて文章をつくるのもいいでしょう。
勉強するときには、小まめに休憩時間を取るようにしましょう。
言語感覚優位(Auditory Digital)について
言語感覚優位の特徴
・頭の中でいろいろと考えている時間が多い。
・意味が通るかどうかにこだわる。
・頭の中でいろいろ試してみる。
・プロセスやシステム、構造、順番などに価値を置く。
・リストを好む。
・物事についてじっくり考えることを望むので、自発的に動くことはほとんどない。
・論理性を重視した話し方をし、長く複雑な文章も話すことができる。
言語感覚優位の学習効果を高めるために
学んだことを誰かと話し合うことで、より理解を深めることができます。頭が整理されるので、学習した内容や書いた文章を発表する機会を大切にしましょう。
また、他のことと関連づけると効果的に覚えることができます。マインドマップにまとめるなどしてみましょう。
文法などは、自分で理論づけを行うといいでしょう。例文を自分なりに作るのも有効です。
分からない言葉などは、辞書を引いて学習への興味を高めましょう。参考文献などは、まとめ読みします。
勉強するときは、既成の方法よりも自分なりのまとめ方をするのがいいでしょう。
何かを記憶するときには、物事によって記憶の方法が違う場合が多いため、視覚、聴覚、体感覚の勉強方法をそれぞれ試しましょう。
まとめ:学校では4パターンで充分である
はじめに書いたように、VAKADモデルの4つの学習スタイルについてはなかなか文献が見つかりません。
むしろ最近は3パターンのVAKモデルをさらに6つに分類するなど、さまざまな研究も進んでいるようです。
自分にどのような学習方法が有効なのか調べるために細分化していくことは、個人ごとには意味があることだと思います。
しかし、学校の授業という場であまりに細分化してしまうと、その全ての特性に応じた授業を作ることがますます困難になります。
生徒数5人程度の極小規模校から、35人前後の通常クラスの生徒を相手にする場合、4つ程度の分類が丁度いいのではないかと考えています。