中学校学習指導要領解説【理科編】第1分野(2)身の回りの物質の解説

学習指導要領
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「中学校学習指導要領解説【理科編】(平成29年7月)」p35~の「(2)身の回りの物質」についての解説です。

本文は学習指導要領解説理科編のコピー&ペーストです。見出しや付箋、マーカーペンについては私が追記した部分ですので、ご注意ください。

先生方の研究授業やカリキュラムマネジメント、移行措置の確認などに生かしていただければ幸いです。

「第1分野(2)身の回りの物質」の解説

単元全体の枠組み

(2)身の回りの物質
 身の回りの物質についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 身の回りの物質の性質や変化に着目しながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

イ 身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質の性質や状態変化における規則性を見いだして表現すること。

既習事項

  小学校では,物質の性質や変化に関する内容として,第3学年で「物と重さ」,「磁石の性質」及び「電気の通り道」,第4学年で「金属,水,空気と温度」,第5学年で「物の溶け方」,第6学年で「燃焼の仕組み」について学習している。

大項目のねらい

 ここでは,理科の見方・考え方を働かせ,身の回りの物質についての観察,実験などを行い,物質の性質や溶解,状態変化について理解させるとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けさせ,思考力,判断力,表現力等を育成することが主なねらいである。その際,物質の水への溶解や状態変化では,粒子のモデルを用いて微視的に事物・現象を捉えさせることが大切である。

「思考・判断・表現」育成の考え方

 思考力,判断力,表現力等を育成するに当たっては,身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,物質の性質や状態変化における規則性を見いだして表現させることが大切である。その際,レポートの作成や発表を適宜行わせることも大切である。

特記事項・配慮事項

 また,物質を調べるための実験器具の操作や,実験結果の記録の仕方などの技能を身に付けさせることが大切である。
 ここで扱う物質としては,身近なものをできるだけ取り上げ,物質に対する興味・関心を高めるようにする。
 なお,観察,実験に当たっては,保護眼鏡の着用などによる安全性の確保や,適切な実験器具の使用と操作による事故防止に留意する。その際,試薬は適切に取り扱い,廃棄物は適切に処理するなど,環境への影響などにも十分配慮する。

(ア)物質のすがた

 ㋐ 身の回りの物質とその性質
 身の回りの物質の性質を様々な方法で調べる実験を行い,物質には密度や加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解するとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。

 ㋑ 気体の発生と性質
 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を理解するとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。

(内容の取扱い)

ア アの(ア)の㋐については,有機物と無機物との違いや金属と非金属との違いを扱うこと。
イ アの(ア)の㋑については,異なる方法を用いても同一の気体が得られることにも触れること。

 ここでは,物質についての学習の導入として,様々な物質に親しませるとともに,問題を見いだし見通しをもって観察,実験を行い,結果を分析して解釈し,物質の性質を見いだして理解させることや,実験器具の操作や実験結果の記録の仕方などの技能を身に付けさせることが主なねらいである。

㋐ 身の回りの物質とその性質について
 小学校では,第3学年で,物は,体積が同じでも重さは違うことがあること,磁石に引き付けられる物と引き付けられない物があること及び電気を通す物と通さない物があることについて学習している。
 ここでは,身の回りの物質について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,物質には固有の性質と共通の性質があることを見いだして理解させるとともに,物質はその性質に着目すると分類できることを見いだして理解させること,また,加熱の仕方や実験器具の操作,実験結果の記録の仕方などの探究に関わる技能を身に付けさせることがねらいである。
 観察,実験の際には,見通しをもって実験を計画させたり,根拠を示して表現させたりするなど,探究的な活動となるよう留意する。ここで扱う物質としては,身近な固体の物質などを取り上げ,それらについて密度や加熱したときの変化などを調べる観察,実験を行う。例えば,食塩や砂糖などの視覚的に区別しにくい身近な白い粉末をどのようにしたら区別できるかという問題を見いださせ,性質の違いに着目し課題を設定させる。設定した課題について,小学校での物質の性質に関する学習などを活用して,性質を調べる方法を考え実験を行わせ,結果を表などに整理し,調べた性質を基に区別し,根拠を示して表現させることなどが考えられる。その際,加熱したときの変化の違いなどに着目し,砂糖などの有機物は食塩などの無機物とは異なり,焦げて黒くなったり燃えると二酸化炭素が発生したりすることに気付かせる。また,金属などの物質を区別する学習活動において,物質の体積や質量に着目し,物質の密度を測定する実験を行い,求めた密度から物質を区別できることに気付かせることが考えられる。金属については,電気伝導性,金属光沢,展性,延性などの共通の性質があることを扱う。
 なお,観察,実験に当たっては,火傷などの事故が起こらないよう十分留意する。

㋑ 気体の発生と性質について
 小学校では,第6学年で,植物体が燃えるときには,空気中の酸素が使われて二酸化炭素ができることを学習している。
 ここでは,気体の発生や捕集などの実験を通して,気体の種類による特性を理解させるとともに,気体の発生法や捕集法,気体の性質を調べる方法などの技能を身に付けさせることがねらいである。
 幾つかの気体を発生させて捕集する実験を行い,それぞれの気体の特性を調べる実験を行う。その際,水への溶けやすさ,空気に対する密度の大小など気体によって特性があり,それに応じた捕集法があることを理解させる。また,代表的な例を取り上げて,異なる方法を用いても同一の気体が得られることについても触れる。ここで取り扱う気体は,小学校で取り扱った気体と中学校理科の学習内容との関連を考慮して,生徒にとって身近な気体などから選ぶ。
 なお,気体の実験では,適切な器具を用いて正しい方法で行い,容器の破裂や火傷などの事故が起こらないよう十分注意するとともに,理科室内の換気にも留意する。

(イ)水溶液
 ㋐ 水溶液
 水溶液から溶質を取り出す実験を行い,その結果を溶解度と関連付けて理解すること。

(内容の取扱い)

ウ アの(イ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱い,質量パーセント濃度にも触れること。また,「溶解度」については,溶解度曲線にも触れること。

 ここでは,物質の水への溶解を粒子のモデルと関連付けて理解させること,また,溶液の温度を下げたり,溶媒を蒸発させたりする実験を通して,溶液から溶質を取り出すことができることを溶解度と関連付けて理解させるとともに,再結晶は純粋な物質を取り出す方法の一つであることを理解させることがねらいである。

㋐ 水溶液について
 小学校では,第5学年で,物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないことを学習している。また,物が水に溶ける量には限度があること,物が水に溶ける量は水の温度や量,溶ける物によって違うこと,この性質を利用して溶けている物を取り出すことができることについて学習している。さらに,水溶液の中では,溶けている物が均一に広がることを学習していることを踏まえ,ここでは,物質の水への溶解を粒子のモデルを用いて微視的に捉えさせるようにするとともに,粒子のモデルで均一になる様子について説明させるようにする。また,水溶液の濃さの表し方に質量パーセント濃度があることにも触れる。
 ここで行う実験としては,例えば,ミョウバンと食塩を取り上げ,ミョウバンはその水溶液の温度を下げることにより,食塩は食塩水の水を蒸発させることにより結晶を取り出すことができることを扱い,溶解度と関連付けて理解させる。その際,溶解度曲線にも触れる。また,再結晶は少量の不純物を含む物質から溶解度の違いを利用して純粋な物質を得る方法であることを理解させる。

(ウ)状態変化

 ㋐ 状態変化と熱
 物質の状態変化についての観察,実験を行い,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだして理解すること。

 ㋑ 物質の融点と沸点
 物質は融点や沸点を境に状態が変化することを知るとともに,混合物を加熱する実験を行い,沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだして理解すること。

(内容の取扱い)

エ アの(ウ)の㋐については,粒子のモデルと関連付けて扱うこと。その際,粒子の運動にも触れること。

 ここでは,物質の状態が変化する様子について,見通しをもって観察,実験を行い,物質の状態変化における規則性を見いださせ,粒子のモデルと関連付けて理解させることが主なねらいである。

㋐ 状態変化と熱について
 小学校では,第4学年で,水は温度によって水蒸気や氷に変わること,水が氷になると体積が増えることについて学習している。
 ここでは,物質を加熱したり冷却したりすると状態が変化することを観察し,状態が変化する前後の体積や質量を比べる実験を行い,状態変化は物質が異なる物質に変化するのではなくその物質の状態が変化するものであることや,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いださせ,粒子のモデルと関連付けて理解させることがねらいである。
 粒子のモデルと関連付けて扱う際には,状態変化によって粒子の運動の様子が変化していることにも触れる。
 なお,状態変化の様子を観察する際には,体積が変化することによって,容器の破損や破裂などの事故が起こらないように留意する。

㋑ 物質の融点と沸点について
 ここでは,物質は融点や沸点を境に状態が変化することや,融点や沸点は物質によって決まっていること,融点や沸点の測定により未知の物質を推定できることを理解させるとともに,混合物を加熱する実験を行い,沸点の違いを利用して混合物から物質を分離できることを見いだして理解させることがねらいである。
 純粋な物質では,状態が変化している間は温度が変化しないことにも触れる。また,沸点の違いを利用して混合物から物質を分離できることを見いださせるために,例えば,みりんや赤ワインなどの混合物からエタノールを分離する実験が考えられる。
 日常生活や社会と関連した例としては,沸点の違いを利用して石油から様々な物質を取り出していることなどを取り上げることが考えられる。

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