「ユマニチュード」の技法を教育に活かせないか

教育用語

最近、「ユマニチュード」という言葉に何度も出会いました。

いったいこれは何なのか。学校で見るわけだから、教育に活かせるものなのか。

自分なりに調べたことをまとめておきます。

 

ユマニチュードとは…

「ユマニチュード」とは、介護を通して人と人の絆を深める、フランス生まれのケア・コミュニケーション技法です。

介護を受けた方に劇的な変化が生じることがあり、「魔法のよう」と表現されることもありますが、誰もが習得できる「技術」です。

 

正面から近づく

ユマニチュードの基本技術①「見る」

認知症の方が認識している視野は私たちが想像しているより狭いようです。視野の外から声を掛けても、誰かが自分のそばにいるとは気づかず、言葉も認識することができません。

「私がここにいますよ」と伝えるためには、まずは正面から近づいて相手の視線を捉えます。

 

ケアの様子を実況中継する

ユマニチュードの基本技術②「話す」

相手のことを大切だと思っていると伝えるために、介護の場に言葉をあふれさせることが大切です。

そのための工夫の一つに実況中継があります。介護をしているときには、必ず動作が伴います。その動きを実況中継することで、言葉の量を増やせます。できるだけゆっくりと前向きな言葉を選びます。

 

つかまずに、広い面積で触れる

ユマニチュードの基本技術③「触れる」

すべての触れ方にはメッセージが含まれます。

相手の腕を持ち上げようとするときには、つい手首をつかんでしまいがちですが、これでは相手が「自由を奪われている」「罰を受けている」と感じるメッセージになってしまいます。

つかまずに下から支え、できるだけ広い面積で触れることで、触れた部分にかかる力を和らげます。

 

1日に合計20分立つことを目標にする

ユマニチュードの基本技術④「立つ」

それまで歩けていたのに、入院してベッドで過ごしているうちに歩けなくなったということは珍しくありません。

立つ力を保つために、できるだけ生活の中に立つ時間を確保することが大切です。

歯を磨くときに3分、トイレまで歩くのに3分、体をふくのに10分というように、1日に合計20分立つことができれば寝たきりになることを防げます。

 

部屋に入るときには必ずノック

ケアのステップ1「来訪を告げる」

部屋に入るときには、「会いに来ましたよ」というメッセージを届けるために、必ずノックをします。

認知症の方は物事の理解や判断に時間がかかることがあるので、ノックと同時に扉を開けるのではなく、ノックをしたら3秒ぐらい相手の反応を待ちます。

待つことも大切な技術です。ふすまや障子の部屋でも同じようにノックをして「会いに来ました」と伝えて返事を待ちます。

 

顔が向いている方から近づく

ケアのステップ2「よい関係を結ぶ」

ノックして部屋に入った後の近づき方も大切です。認知症の方は認識できる範囲が狭くなっています。

そのため、相手の視野の中心に入ることを意識しながら、顔が向いている方から近づいていくようにします。

ノックの返事がなかったときにはベッドボードやイスのひじ掛けを改めてノックすることで、会いに来たことを伝えます。

 

「瞳を見ながら」「話しながら」「触れる」

ケアのステップ3「実際のケア」

実際のケアをするときは「見る」「話す」「触れる」ことを同時に組み合わせて行います。

大切なのは、私たちが伝えるメッセージに矛盾がないようにすることです。

ケアしている間も相手を正面から近く、長く見つめながら、ゆったりとした言葉で話しかけ、やさしくしっかりと触れることで「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを伝え続けることができます。

よい記憶を「感情記憶」に残す

ケアのステップ4「ともに過ごしたよい時間をふり返る」

ケアが終わってもすぐに立ち去るのではなく、今行ったケアがとても心地よく、よいものであったことを相手の「感情記憶」に残します。

よい「感情記憶」を残すことで、次回のケアをより肯定的に受け取ってもらえるようになります。

感情の固定の時間は次回のケアがうまくいくための伏線となるのです。

 

「再会の約束」は「次のケアの始まり」

ケアのステップ5「次のケアへつなぐ」

誰かとよい時間を過ごした後には、「また会いたいな」と思うものです。

ともに過ごした時間が心地よいものであったら、次のケアを楽しみに待ってもらえます。

「再会の約束」は「次のケアの始まり」でもあるのです。

約束をカレンダーやノートに残しておくことも、次のケアを行いやすくするための技術です。

 

相手の世界に入りこむ

認知症ケアのヒント① 「理解しがたい行動にも意味がある」

ご本人が現実とかけ離れたことをおっしゃるとき、たとえば20年も前に退職したのに「これから仕事に行く」と言う場合には、ご本人は時間をさかのぼって20年前に戻っている可能性があります。

ご本人にとってはそれが真実なのです。そんなときは、ご本人がおっしゃっている時代に一緒に戻って、相手の世界に入り込んで話をすると安心してもらいやすくなります。

 

お願いするときは一つずつ

認知症ケアのヒント② 「一度にたくさん頼まない」

認知症の方は、たくさんのことを一度に覚えておくことがむずかしく、不安な気持ちも高まりやすくなります。そんなときには、ご本人が自信を持ってできることを一緒にするとよいかもしれません。

このとき、「一つずつ頼む」ことが重要です。「肉じゃがを作ってね」ではなく、「おイモの皮をむいてね」、次に「むいたおイモをこのくらいの大きさに切ってね」というように一つ一つ具体的にお願いします。

そのとき「ありがとう」「助かった!」というようなねぎらいの言葉を、ぜひ伝えてください。

 

自信を持ってできることを提案する

認知症ケアのヒント③ 「不安な気持ちを取り除くには」

何度も同じことや同じ質問を繰り返すときは、ご本人の不安を表現している可能性があります。そんなときは、ご本人が得意だったことや好きだったことをやってみようという提案がよいかもしれません。

ご本人が自信を持ってできること、たとえばタオルや着物をたたんだり、庭の手入れをしたりすることで、不安を取り除き落ち着いてもらうことができます。

 

介護を一人でがんばりすぎないでください。

ご家族の認知症の症状が進んでいくのを目の当たりにするのはつらいことです。

でも、事実を受け入れることが介護の第一歩となります。

大切なのは「私が一緒にここにいるから大丈夫です」というメッセージを相手に伝えることです。

そして、ぜひ心にとどめていただきたいのは、「介護を一人でがんばりすぎない」ということです。

周囲に助けを求めることも介護の重要な技術です。

 

 

調べてみて思ったこと

「ユマニチュード」とは認知症患者へのケアの技法でした。しかし、これをこのブログに載せようと思いました。

認知症と言ってしまうと、なかなか学校現場には結びつかないかもしれませんが、子供が認知に難しさを持っているのだとしたらどうでしょう?

認知は全員が同じということはありません。同じことに対して、ちがう反応をしていいはずです。

そのときには、ここに書かれている技法が役に立つと思いました。

 

昔、先輩教師に言われたことがあります。

「教師がキャパシティを広げていけば、予想外のことが減って、受け止められる子供が増える。」

私たちは、自分の人生経験のすべてを子供に還元できるはずだと思います。

今回の調べ学習も、自分の幅を広げるきっかけになったかもしれません。

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