【先生から】卒業文集原稿「回り続けるコマ」を書きました【平成16年度】

 学級担任として

平成16年に書いた卒業文集の原稿です。

卒業文集のメッセージって、A5サイズが多いですか。あるいは本当に一言、みたいなスペースでしょうか。どんどん字(フォントサイズ)が小さくなっているように思います。

だいたい1月くらいから考え始めるのですが、どこにヒントが転がっているかわからないので、一年を通して(これは卒業文集の題材に使えそうだな)なんて見つけるようにしています。

  

卒業文集「回り続けるコマ」

回り続けるコマ

教師というのは、毎年多くの子どもたちと出会い、別れていくものだ。
そんなことは百も承知のはずなのに、毎年、この時期が来るのは辛いものだ。

しかし人との出会いは多くのことを学ばせてくれる。

人の社会はときに「機械の歯車」のように例えられる。
私はそれが面白くなかった。
自分は毎日のように自分から精一杯がんばっているはずなのに、所詮は人に回される歯車でしかないというのがイヤだった。

  

しかし、ある先生と話していてわかったことがある。
私たちは回される歯車ではない。
「回り続けるコマ」なのだ。

自分の足で立ち、自分の意思で回り続けているのだ。
それが集まっているのが社会なのだ。
機械の歯車ならば何も乱れることは無い。

コマであるからこそ、時に人と衝突したり、摩擦が生じたり、馬が合ったりする。
一人でヨロヨロと倒れそうになったり、フラフラとどこかへ行ったり、倒れないよう支えあったりもする。

  

では私たちはどこを目指すのか。
答えはいくつかあるだろう。
多くのコマの回転を支えられるコマ。
周りのみんなの回転にうまく合わせられるコマ。
世界中に影響を与える回転をするコマ。

そこでまず私たちが目指すのは、どんなときでも自分で立っていられる自立したコマである。
どんな障害に出くわしても回り続けられるコマである。

回転するにもエネルギーがいる。
エネルギーの源はあなたの中の「沸いてくる意思」である。
回転の中心、揺るぎない芯を、地球を貫く地軸のように丈夫な芯(心)を鍛えてください。

  

私がいつも自分に言い聞かせていること ――
何かを得るためには何かを失わなくてはいけない。
言葉ではなく行動で示す。
他人の時間を奪ってはいけない。
物事の優先順位を間違わない。
別れの時はいつかまた会えると信じる。

――信じています。みなさん,どうかお元気で

  

えび先生
えび先生

先生って、こういう理科の授業ででてきそうな話から、道徳みたいな話をもってきますよね。

かに先生
かに先生

道徳理科って言うのかな。自然から生き方を学ぶ。それが理科を学ぶ価値だとも思うんだよ。

一年を通して、授業をしながら、日々の生活のなかで、こういうことに気がつけた瞬間というのは格別です。

ではまた!