中学校学習指導要領解説【理科編】第1分野(1)身近な物理現象の解説

学習指導要領
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「中学校学習指導要領解説【理科編】(平成29年7月)」p29~の「(1)身近な物理現象」についての解説です。

本文は学習指導要領解説理科編のコピー&ペーストです。見出しや付箋、マーカーペンについては私が追記した部分ですので、ご注意ください。

先生方の研究授業やカリキュラムマネジメント、移行措置の確認などに生かしていただければ幸いです。

「第1分野(1)身近な物理現象」の解説

単元全体の枠組み

(1)身近な物理現象

 身近な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。

イ 身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きの規則性や関係性を見いだして表現すること

既習事項

 小学校では,光や音に関する内容として,第3学年で「光と音の性質」,力に関する内容として,第3学年で「物と重さ」,「風とゴムの力の働き」,第4学年で「空気と水の性質」,第6学年で「てこの規則性」について学習している。

大項目のねらい

 ここでは,理科の見方・考え方を働かせ,光や音,力についての観察,実験などを行い,身近な物理現象を日常生活や社会と関連付けながら理解させるとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けさせ,思考力,判断力,表現力等を育成することが主なねらいである。

「思考・判断・表現」育成の考え方

 思考力,判断力,表現力等を育成するに当たっては,身近な物理現象について,問題を見いだし見通しをもって観察,実験などを行い,その結果を分析して解釈し,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質,力の働きについての規則性や関係性を見いだして表現させることが大切である。その際,レポートの作成や発表を適宜行わせることも大切である。

特記事項・配慮事項

 また,身近な物理現象の学習に当たっては,例えば,簡単なカメラや楽器などのものづくりを取り入れ,原理や仕組みの理解を深めさせ,興味・関心を高めるようにすることが考えられる。

(ア)光と音
  ㋐ 光の反射・屈折
 光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだして理解すること。
  ㋑ 凸レンズの働き
 凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像のでき方との関係を見いだして理解すること。

  ㋒ 音の性質
 音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを見いだして理解すること。

(内容の取扱い)

ア アの(ア)の㋐については,全反射も扱い,光の屈折では入射角と屈折角の定性的な関係にも触れること。また,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることにも触れること。
イ アの(ア)の㋑については,物体の位置に対する像の位置や像の大きさの定性的な関係を調べること。その際,実像と虚像を扱うこと。
ウ アの(ア)の㋒については,音の伝わる速さについて,空気中を伝わるおよその速さにも触れること。

 ここでは,光の反射や屈折,凸レンズの働き,音の性質に関して問題を見いだし見通しをもって実験を行い,その結果を分析して解釈し,規則性を見いださせ,日常生活や社会と関連付けて理解させるとともに,光や音,力に関する観察,実験の技能を身に付けさせることが主なねらいである。

㋐ 光の反射・屈折について
 小学校では,第3学年で,日光は直進し,鏡などで集めたり反射させたりできることについて学習している。
 ここでは,光の進み方に関する身近な現象と関連させながら,光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの幾何光学的な規則性を見いだして理解させることがねらいである。
 学習の導入に当たっては,例えば,光源から出た光を複数の鏡を使って反射させ設置した的に当てるなど,鏡に入射する光と反射する光との関係について,問題を見いだす活動などが考えられる。また,例えば,身近な事象として虹や水面に映った景色,日常生活や社会で活用されているものとして光ファイバーケーブルなどを示し,問題を見いださせるようにすることも考えられる。
 反射については,例えば,光を鏡で反射させる実験を行い,光の進む道筋を記録させ,入射角と反射角が等しいことを見いだして理解させるとともに,鏡に映る像を光の反射と関連させて理解させる。
 屈折については,例えば,台形ガラスや半円形ガラス,プリズムなどを適宜用いて実験を行い,光が空気中からガラスや水に進むときは,入射角よりも屈折角が小さくなるように進み,入射角を変化させるにつれて屈折角が変化することを見いだして理解させる。また,光がガラスや水から空気中に進むときは,空気中からガラスや水に進む経路の逆をたどり,入射角よりも屈折角が大きくなるように進むこと,さらに,入射角を大きくしていくと全反射が起こることを見いだして理解させる。このように光の屈折については,入射角と屈折角の定性的な大小関係に触れる。なお,強い光源を用いる場合は,直接目で見ることのないよう配慮する必要がある。
 光の色については,例えば,雨上がりなどに虹ができることを取り上げ,白色光はプリズムなどによっていろいろな色の光に分かれることに触れる。なお,色の見え方には個人差があることに配慮する必要がある。

㋑ 凸レンズの働きについて
 ここでは,物体と凸レンズの距離を変え,実像や虚像ができる条件を調べさせ,像の位置や大きさ,像の向きについての規則性を定性的に見いだして理解させることがねらいである。
 はじめに,凸レンズに平行光線を当て,光が集まる点が焦点であることを理解させる。次に,物体,凸レンズ,スクリーンの位置を変えながらいろいろ調節して,スクリーンに実像を結ばせ,凸レンズと物体の距離,凸レンズとスクリーンの距離,像の大きさ,像の向きの関係を見いだして理解させる。
 また,物体を凸レンズと焦点の間に置き,凸レンズを通して物体を見ると拡大した虚像が見えることを理解させる。その際,例えば,眼鏡やカメラなど光の性質やレンズの働きを応用した身の回りの道具や機器などを取り上げ,日常生活や社会と関連付けて理解させるようにする。 
 凸レンズを用いてできる像を観察して,その結果を考察させる際,作図を用いることも考えられるが,定性的な関係を見いだすための補助的な手段として用いるようにする。なお,光源と凸レンズを用いて実像を観察する実験では,目を保護するために,スクリーン等に像を映して観察するなどの工夫をし,凸レンズを通して光源を直接目で見ることのないよう配慮する必要がある。

㋒ 音の性質について
 小学校では,第3学年で,物から音が出たり伝わったりするとき,物は震えていること,音の大きさが変わると物の震え方が変わることについて学習している。
 ここでは,音についての観察,実験を通して,音は物体の振動によって生じその振動が空気中などを伝わること,音の大小や高低は発音体の振動の振幅と振動数に関係することを見いだして理解させることがねらいである。
 例えば,発振器に接続したスピーカーや太鼓,おんさなどの観察,実験を通して,物体が振動しているときに音が発生していることに気付かせる。また,二つの標準おんさの共鳴現象や真空鈴の実験を行い,音が空気中を伝わることや,空気など音を伝える物質の存在が必要であることを理解させる。その際,音が空気中を波として伝わることにも触れ,空気中を伝わる音の速さについては,例えば,雷鳴や打ち上げ花火などの体験と関連付け,室温など一定の温度におけるおよその値を示す。
 また,例えば,音の大きさと振幅の関係や音の高さと振動数の関係について問題を見いだし,弦を用いて実験を行い,弦の振動では弦をはじく強さ,弦の長さや太さなどを変えて音を発生させ,音の大きさや高さを決める条件を見いだして理解させる。なお,このとき,条件を制御して行うことに留意させる。また,オシロスコープやコンピュータなどを用いて,音を波形で表示させ,音の大小と振幅,音の高低と振動数が関連することを見いだして理解させる。

(イ)力の働き
 ㋐ 力の働き
 物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだして理解するとともに,力は大きさと向きによって表されることを知ること。また,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだして理解すること。

(内容の取扱い)

エ アの(イ)の㋐については,ばねに加える力の大きさとばねの伸びとの関係も扱うこと。また,重さと質量との違いにも触れること。力の単位としてはニュートン」を用いること。

 ここでは,物体に力を働かせる実験を行い,その結果を分析して解釈することを通して力の働きやその規則性を見いださせ,力は大きさと向きによって表されること,物体に働く2力のつり合う条件など,力に関する基礎的な性質やその働きを理解させるとともに,力に関する観察,実験の技能を身に付けさせることが主なねらいである。

㋐ 力の働きについて
 小学校では,第3学年で,物は体積が同じでも重さは違うことがあること,風やゴムの力で物を動かすことができること,第6学年で「てこの規則性」について,力を加える位置や力の大きさを変えると,てこを傾ける働きが変わり,てこがつり合うときにはそれらの間に規則性があることを学習している。
 力の働きについては,例えば,静止している物体に力を働かせる実験を行い,物体が変形したり,動き出したりすることを観察させる。その中で,力の大きさによって変形の様子が異なることや動き出し方に違いがあることを見いだして理解させる。また,動いている物体に力を加える実験を行い,速くなったり遅くなったり動く向きが変わったりするなど,運動の様子が変わることを観察させる。これらのことを基にして,力の働きを見いださせるとともに,力には大きさと向きがあることを理解させる。
 物体の変形については,例えば,ばねにおもりをつるしてばねの伸びを測定する実験を行い,測定結果から力の大きさとばねの伸びが比例することを見いださせ,力の大きさはばねの変形の量で測定できることを理解させる。測定結果を処理する際,測定値には誤差が必ず含まれていることを踏まえた上で規則性を見いださせるように指導し,誤差の扱いやグラフ化など,測定値の処理の仕方の基礎を習得させることが大切である。
 2力がつり合う条件については,例えば,2本のばねばかりを用いて,一つの物体を引く実験を行い,2力がつり合うときのそれぞれの力の大きさと向きなどを調べ,つり合いの条件を見いだして理解させることが考えられる。このとき,綱引きなどの体験と関連させながら2力のつり合いについて考えさせる。その上で,2力のつり合いが身近に存在していることを,例えば,机の上に静止している物体に働く力について考えさせ,下向きに働いている重力とつり合うように机の面が物体を押し上げている力があることを理解させる。
 重さについては,小学校の学習を踏まえながら,力の一種であることを理解させ,重さと質量の違いにも触れる。例えば,質量は場所によって変わらない量で,てんびんで測定することができる量であり,重さは物体に働く重力の大きさで,ばねばかりなどで測定することができる量であるとする。そして,おもりの質量が大きくなるとおもりに働く重力が大きくなることを理解させる。また,今後の理科の学習で,重さと質量を区別して使っていくことにも触れる。
 力の大きさについては,単位としてニュートン(記号N)を用いる。1Nの力とは,質量が約100g の物体に働く重力と同じ大きさであることに触れる。また,力には,大きさ,向き,作用点という要素があり,力を矢印の大きさと向きを用いて表すことができることを理解させる。なお,これらの学習の中で,身近なところに存在している力の具体例などにも触れ,生徒の興味・関心を高めることも大切である。

出典:文部科学省ホームページ (https://www.mext.go.jp/)

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