初任研担当として、初任者の先生方の報告書にコメントを書いています。
指導の先生とのやり取りや、教室での実践を通して、皆さんが日々たくさんの学びを積み重ねている様子に、励まされる思いです。
この記事では、報告書には書ききれないような視点から、わたし自身の経験も交えてメッセージをお届けしています。
少し立ち止まって考えたいとき、ふとヒントが欲しくなったときに、気軽に読んでいただけたらうれしいです。
「個に応じた指導と学習形態」へのコメント
指導案をつくるときに、○年○組指導案とするのは、クラスの特性、構成する生徒の特性を念頭において授業をつくるからです。
個人をどう組み合わせたグループにするとよいのか、いろいろ試してみましょう。「ペアを作って。」といっても、隣の人なのか? 男女なのか? 仲良しなのか? など目的が変われば条件も変わります。
欠席者がいたらどうするか、孤立傾向のある子はどうするかなど、配慮することも違います。
個別最適な学びの実現には、個に応じた最適な学習教材、教具、課題になっているか、先生と生徒で吟味する必要があります。
コメントに込めた思い
クラスの特性を踏まえた指導案づくり
教育実習で教わるレベルのことだと思いますが、忘れがちです。授業の指導案を「○年○組指導案」として作成する理由は、そのクラスに合わせた授業づくりが必要だからです。
同じ単元、同じ教材であっても、生徒の構成やクラスの雰囲気、学び方の傾向によって、授業の進め方やアプローチは変わってきます。
つまり、指導案とは「このクラスで、どのように学びを成立させるか」を考え抜いた設計図なのです。
個に応じた指導の前とともに、クラスに応じた指導もできるようにならないといけません。
グループ編成には目的が必要
「ペアを作って」「班で話し合って」と指示する場面は多くありますが、ペア・グループの作り方一つで学びの質は変わります。
- となり同士で組ませるのか
- 男女で組ませるのか
- 仲の良い者同士にするのか
- あえて関わりが少ない者を組ませるのか
目的によって編成条件はまったく違います。授業のねらいに合わせて、毎回少しずつ組み合わせを変えていくことが、個々の学びを広げ、関係づくりを促す力になります。
隣同士のペア、5~6人の生活班、3~4人の学習班、10~12人の1号車・2号車。いろいろなグループが作れるように各学級でルール化しておくといいですね。
配慮が必要な場面では、判断が変わる
欠席者が出た場合、孤立傾向のある生徒がいる場合、支援の必要な生徒がいる場合など、グループ編成には柔軟な判断が欠かせません。
ある生徒はペア活動のほうが学びやすいかもしれませんし、別の生徒は複数人のグループのほうが力を発揮できるかもしれません。あくまで個人で学んだほうがいいという生徒もいます。
生徒の特性に応じて、学びやすさ・参加しやすさを保証することが、個に応じた学習の第一歩です。
個別最適な学びを支える教材選び
個に応じた学習を実現するためには、教材や課題の側も「個」に合っている必要があります。
- どの教材が最も理解しやすいのか
- どの課題なら意欲を引き出せるのか
- どの教具なら参加しやすくなるのか
こうした点は、教師が一方的に決めるのではなく、生徒と一緒に確かめていくことが大切です。
生徒が「自分に合っている学び方」を知ることは、学習者として自立するための大きな一歩になります。
個に応じた指導とは、特別な支援だけを指すわけではありません。クラス全体の特性、個々の強みや課題、学びやすさを丁寧に見取りながら、授業の形・教材の選び方・グループ編成を調整していくことです。
生徒が自分の力を発揮できる環境をどうつくるか。日々の小さな工夫の積み重ねが、個別最適で共同的な学びにつながります。



