私は日々、ジャーナリングを習慣にしています。
ジャーナリングは心に浮かんできたものを洗いざらい書き出していきますが、大事なのは振り返りだと思うようになりました。
ただ、ジャーナリングは速記です。なぐり書きのように急いで書いた字を、後から読み返すのはなかなかしんどい作業です。
そこで、書いたらすぐに見返して、キーワードに丸をつけるようにしています。
ただ書くだけではなく、ちょっとした工夫を加えることで、思考が整理され、新たな気づきにつながっていくのを感じています。
今日はその具体的な方法を紹介したいと思います。
ジャーナリングの読み返し方
まず私がやっているジャーナリングの読み返し方について説明します。使うのはマーカーペンやマイルドライナーをおすすめします。
ステップ1:キーワードに〇をつける
ジャーナリングの最後に、その日書いたことの中からキーワードを3つ選んで丸をつけるようにしています。
走り書きで汚い字でも、直後であれば読むことが可能です。見返して気になったキーワードにパパッと丸をつけてしまいます。
この作業を毎日続けていくと、1週間で21個のキーワードが手元に残ります。
数はあくまで目安で、5日でも10日でも構いません。振り返りをしようと時間が取れたときがチャンスなので、決まった日数にはしていません。
大切なのは、浮かび上がってきた言葉を“拾い集める”ことです。
ステップ2:キーワードをマッピングする
次に、それらのキーワードを1枚のA4用紙に書き出していきます。
このとき、「関連がありそうだな」と思う言葉同士を近くに配置したり、線でつないだりしていきます。
出来上がるのは、マインドマップというよりも「コンセプトマップ」に近いものです。すでにある言葉同士の関係性を“見える化”する作業です。
ステップ3:浮かんできたことを余白に書く
このマッピング作業をしながら、不思議と新しいことが次々に頭に浮かんできます。
その、思いついたこと、考えたこと、気付いたことは、その場の余白にどんどん書き込んでいきます。
この余白が必要なので、少し大きいと思ってもA4用紙をおすすめします。
この「余白へのメモ」こそが、もっとも大切なプロセスだと私は感じています。
キーワードを“つなぐ”ことで、自分の中に眠っていた視点が“立ち上がってくる”からです。
思考は泡です。次の瞬間には消えてしまいますので、もらさずにすくい取るようにします。
錬金術のように生まれてくるもの
自分のこのやり方を整理してみたとき、錬金術のようだなと思いました。その後のことも参考になれば幸いです。
シンキングツールは“過程”が大事
思考ツールというと、フィッシュボーンやダイヤモンドランキングなどの型や、それらに書き込んで完成した図や、整理された表に目がいきがちです。
しかし、シンキングツールはその制作過程にこそ意味があります。
言葉を選び、つなぎ、立ち上がってくる思いをすくい上げる。それこそが「考える」ということではないでしょうか。
錬金術のように中間生成物を生み出す
キーワードという「素材」を、A4用紙の「鍋」にいれて、頭の中で線で繋いだり、枠で囲ったりしながら、ぐるぐると混ぜていきます。なんとなくイメージは錬金術師です。
ジャーナリングは日々のトレーニングであり、コンセプトマップはいわば「中間生成物」です。
面白いのは、これが完成品ではなく「中間生成物」というところ。この中間生成物を混ぜることで、また次の何かが生まれるかもしれません。どこまでいっても、次の気づきを生み出すための素材です。
こうして生まれた気づきやひらめきを、私の場合はシール用紙に記入して、まとめ用のノートに貼りつけています。
素材も生成物もすべて自分発信なので、このノートは、自分の「自分の取扱説明書」や「金言集」、「価値観の原石」のようなものになっています。
心のダンジョンをさまようあなたへ
最近読んだ本の『さみしい夜にはペンを持て』の中では、「ダンジョンの探索」や「地図を描く」などを比喩として語られていました。
まさに、自分の内面を探るこのノートは、心のダンジョンに隠された宝箱のような存在なのかもしれません。
立ち止まり、振り返ることで見つけられる宝があります。
ジャーナリングをすぐ振り返るところから、みなさんも試してみてください。そして、ぜひ一度、自分の言葉を地図にしてみてください。