先生方のメンタルヘルスを守るためには、管理職の先生方も健康でいなければなりません。
自分のメンタルは、先生方のメンタルにも多かれ少なかれ影響しているはずです。
ちょっと自分自身のことも振り返ってみてはどうでしょうか。
自分はどのタイプの管理職か?
管理職の心理状態が、ちょっと極端な例として4つのカテゴリに分けて紹介されました。あなたはどのタイプですか?
精神論・励まし型
「気の持ちよう」と解釈し、鼓舞しようとする。
- 「気のもちようだよ」
- 「連休でリフレッシュできたでしょ?」
- 「期待しているよ」
→ 現在の状態を「心身の不調」として受け入れて、現在の状態にあわせて期待値を調整しましょう。
回避・放置型
部下の不調への戸惑いから、距離を置く。
- 「とりあえず様子見で」(先延ばし)
- 「声をかけにくい」(放置)
→ いつでも相談してほしいというメッセージを継続的に発信しましょう。
変化をキャッチし記録すること、定期的な声かけ・観察を続けましょう。
一方的支援型
「自分が支えなければ」という視点から、本人の同意なく判断する。
- 「代わりにやっておくから」(意思確認せず業務量を調整する)
- 「心配だから休職して」
→ 本人と共に業務を整理し、優先順位を確認しましょう。
一緒に考えるというスタンスで接するようにします。
素人診断型
原因を深追いし、医学的診断を下そうとする
- 「それはきっとうつ病だよ」
- 「なにが原因なの?」(個人的なことまで詮索)
→ 目の前で起きている事実に目を向けるようにします。
参考にはなりますが、経験による憶測だけを当てにしないようにしましょう。
管理職自身の働き方に関わる価値観は、無意識のうちに先生方への関わり方に影響を与えてしまうものです。
ご自身の仕事の流儀を自らが把握していることが、職場づくりに良い影響を与えます。
職場環境改善に向けて
では、先生方が職場環境を改善しようと思ったら、どのようなことに取り組めばよいでしょうか。
A~Dの視点で、取り組めそうなことを挙げてみます。
A 仕事の進め方
- 仕事量・裁量度
- 役割の明確さ
- 情緒的負担
- 役割葛藤 など
↓
- 共有ファイル活用
- 打合せの設定
- 休暇の取りやすさの工夫
私は、新しく来た先生に分かりやすいように、共有フォルダのルールを説明したり、職員室内の俯瞰図(どこの棚に何が入っているか)などを作っています。
B 職場環境
- 暑さ、寒さ、採光
- 騒音、粉じん、有害化学物質
- 休養・衛生設備 など
↓
- 物理的環境におけるストレスの軽減
- 衛生設備や休憩のとりやすさの工夫
職員室のエアコンの風が直に当たる席がありますよね。それがいいというのか、我慢しているのかは聞いたほうがいいと思います。
C 人間関係・相互支援
- 上司のリーダーシップ・マネジメント
- 上司のサポート・公正な態度
- 同僚のサポート など
↓
- 心理的安全性の高い職場風土づくり
- 個人のライフスタイルに応じた
- 業務調整の工夫
先生方のライフイベントを把握しつつ、子育て休暇や短期介護休暇をとる先生へいたわりの声掛け、産休前、産休明けの先生へ体調確認の声掛けをしています。
D 安心できる職場のしくみ
- メンタルヘルスケアの教育研修
- 相談窓口の情報提供
- キャリア形成支援・公正な人事評価
- ハラスメント対応 など
↓
- 研修会の開催や情報提供
- 定期的な面談・ストレスチェックの活用
- 安全衛生委員会等の活用
職員室の壁に、相談窓口のチラシを貼っていますがそれだけではダメですよね。安全衛生委員会やストレスチェックを行うことはできますが、それを活かすのが難しいです。
相談しやすい職場づくりをすすめる
不調の未然予防のポイントが4つあります。
- プライバシーを守れる場所と時間の確保 + 聴く側の心の整理(スペース)を確認する。
- 情報の取り扱い、不利益扱いがなされないことを明確化する。
- 啓発や情報提供を複数の媒体、研修等で行う。
- 非言語的メッセージを大切にする。
不調者への面談時の聞き取りポイント
体調について
本人が大丈夫と言ったとしても、勤務状況(遅刻、休み、超勤等)の事例性を基に心配していることを伝えていきます。心理面ではなく身体面からの声がけをこころがけます。
「最近体調はどうですか?」
「困っていることがあれば聞かせてください」
相談・受診の有無
受診の不安が強い場合、どんな不安があるのか具体的に確認します。
受診や相談に備えて、職場における客観的事実(事例性)の記録をとります。それを基に家族や、医療機関に相談するようにします。
病院、クリニック、カウンセリング以外でも、親しい人(家族、友人等)に相談できる人がいるかどうかも確認しましょう。
受診の前に「相談機関」を利用することを勧める方法も効果的です。病気の診察ではなく「相談に行ってみたらどうでしょうか」というのは受け取る方は抵抗感が下がります。
勤務上の困りごとの確認
「質」・「量」・「対人関係」を軸に具体的に確認します。
行事前などの一時的なものなのか、一年を通してそうなのか、校務分掌とライフイベントも照らして考えてみます。
配慮すべきことの確認
職場で相談できる人がいるかも確認します。
学年主任や仲のよい先生など、具体的に挙げてみるのもよいと思います。
それらの先生が逆に原因となっていることもありえますから、あくまでも本人の意思を尊重して聞いてみます。
情報の取扱い方
この情報はどこまで共有するかを本人と確認します。教頭先生なら「校長先生には私からも話しておきますね」と伝えておきます。
もちろんアクションを起こす場合は、本人の同意を得てから動きましょう。
ハラスメントなどが疑われる案件については、特に勝手に調査を進めて第三者に聞いて回ることのないように配慮します。
次の約束
次回の面談日を約束します。授業の空き時間や放課後の時間を探しましょう。
念のため、その日までのあいだに何か心配なことがあった時は遠慮なく相談するように伝えます。
周りに知られたくないという先生もいます。その場合の連絡の取り合い方を具体的に決めておきましょう。
共倒れを防ぐために管理職のアラートチェックも活用しましょう
職場づくり・メンタルヘルス対策は、まずは管理職自身が「自分の限界(境界線)」に気づく冷静さも大切です。
また、支える管理職自身が疲れ果てていては、管理職自身がイメージする、いきいきとした職場づくりを機能させることが難しくなってしまいます。
先生方のセルフアラートチェックに加えて、管理職のセルフアラートチェックもしてみてください。
先生方のセルフアラートチェック
□ 睡眠状態が悪い(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝起きられないなど)
□ 疲れがとれない感覚がある(しっかり寝ても身体がだるいなど)
□ 頭痛、肩こり、胃痛など身体に不調を感じる
□ 仕事に行くのが嫌だと思う
□ やる気がでない、気分が重い
□ イライラしたり、怒りっぽくなる
□ 楽しいことを考えても気持ちが盛り上がらない
□ 職場で、周囲の人との会話が減った
管理職のセルフアラートチェック
□ 先生方の些細なミスにイライラする
□ 先生方に任せるより自分がやった方が早いと考える
□ 休日も仕事のメールなどが気になり、休んだ気がしない
□ 仕事の辛さを誰にも共有できず、孤独を感じる
まとめ
管理職になるときに「一人職を大切にしなさい」と言われました。学校に一人しかいない役職の先生ですね。養護教諭や事務員、用務員のような方々のことです。
しかしそれは管理職も同様です。校長は一人しかいません。副校長、教頭も一人のところが多いでしょう。管理職同士でお互いに見守り合うのも大切だと思います。
先生方はなにかリフレッシュの方法がありますか。学校や家庭や、第3の場所(図書館や喫茶店など)それぞれで心のスイッチがもてるといいですね。
管理職もまた、一人で抱え込まず、支え合う側に回ることが、結果として先生方の安心につながります。先生方だけでなく、ご自身の心にも目を向けながら、持続可能な学校づくりを進めていきたいものです。


