毎年多くの学校で行われている行事に、合唱コンクールや合唱祭がありますね。
文化祭のなかに組み込んでいる学校も多いと思います。
クラス対抗であることが多いため、二学期が始まると各教室から歌声が響いてきます。
そして、合唱練習のなかでいろいろなトラブルが起こり、それを乗り越えながら(乗り越えさせながら)生徒たちは成長していきます。
そんなことも願いながら、学級担任としては力を入れて指導します。
そこで、自分がこれまでにやってきた合唱指導を簡単に列挙してみます。
ちなみに私の専門は理科ですし、歌が得意だと思ったことは一度もありません。
ただ、音楽科の教師でなくても、学級担任としてこれくらいは言えるだろうと思います。そう、アドバイスとして言うことはできるのです。
さて、言い訳はほどほどに本題へ。
学級担任として合唱練習のアドバイス21
合唱の基本
1.肩幅くらいに足を開いて、手は下へおろす。
ビデオに撮って見せるといかに動いているか伝わります。
2.お腹をふくらませるように息を吸う。
腹式呼吸ですね。お腹を手に当てるとかすると分かりやすい。
3.指揮者を見て、リズムやタイミングを合わせる。
楽譜と指揮者を交互に見ていると、逆に楽譜を覚えられます。
4.ブレス(息継ぎ)のタイミングを合わせる。
指揮者も一緒に吸ってくれると分かりやすい。
5.p、f(ピアノとフォルテ)を守る。
つぎの段階はppとpとmp(ピアニッシモ、ピアノ、メゾピアノ)、
mf、f、ff(メゾフォルテ、フォルテ、フォルテッシモ)に差をつける。
6.クレッシェンド,デクレッシェンドを守る。
はじめは極端でもいいと思います。
<(クレッシェンド) と f<(フォルテ・クレッシェンド) の違いなどが判ると面白くなります。
発音について
7.歌詞が聞き取れるように、発音をよくする。
観客側からすると、歌詞カードがないため、耳だけの情報になります。はっきり歌ってくれないと、何を言っているのかわからないのです。
8.「さしすせそ」をはっきりと。「さ」が「すぁ」にならないように。
9.「たちつてと」をはっきりと。「だぢづでど」にならないように。
10.「なにぬねの」をはっきりと。「な」が「ぬぁ」とならないように。
11.舌が口の裏側にくっつく音声、くちびるが閉じる音声に気を付ける。
上記以外にも「まみむめも」「ばびぶべぼ」などですね。
音の出方は1音1音早かったり遅かったりするので、それを意識しないとだんだんずれてきます。
歌を深める
12.歌詞の意味を考える。
練習の合間や、学級活動の時間に話し合ったりするといいでしょう。
13.音楽記号の意味を調べる。
学級通信のネタにしてもいいと思います。fpとpfのちがいは意外だと思います。
14.歌詞と音楽記号から、作曲者の気持ちを考える。
その歌が作られた国や時代のことを話してあげるのもいいですね。合唱部や吹奏楽部でもなければ、さすがにそこまで調べてくる子はいないので。
15.歌詞から想像されるイメージを具体的にして,みんなで共有する。
「どんな感じ?」と聞いたり、余裕があれば絵を描いたりするといいと思います。結構違うことを考えていて(だから気持ちがそろわないんだな…)と納得します。
16.これまで音楽の先生に言われたことを書きださせて掲示する。
学級活動にしてもいいし、休み時間でもいいです。音楽の授業のあとに書かせるのも手です。掲示物にすることで教室が合唱モードになります。
練習体形
17.前列と後列が向かい合って歌う。
人に見られながら歌うのは恥ずかしいものです。その対策です。
18.パートごとに輪になって歌う。
ブレスのタイミングを合わせるためです。
19.全員で大きな円になって歌う。
音を真ん中に集めるイメージ、クラスの一体感を持たせます。
20.全員で外向きになって歌う。
耳は周りに意識して、声は周りに頼らずに自分で出す。そのバランス感覚を持たせます。
3年生ならここまでやりたい
21.自分たちでアレンジを考えさせる。
たとえば,楽譜には書かれていないけれど3回リピートする歌詞があったとします。1回目がfなら、2回目をmf、3回目をffにすることでメリハリをつけるか、とか。mf、f、ffとだんだん大きくしていくか、とか。
楽譜が正解だと思っている子どもたちから、そういう発想はなかなか出てきません。こちらから提案して子供たちに決めさせることで,自分たちの合唱を作り上げていくという楽しみを味わえるようになります。
まとめ 学級担任だからこそできること
合唱コンクールまでにさまざまな波乱が待ち受けていますが、子どもたちがその波を乗り越えられると予測ができるときには、子どもたちの力を信じて任せていました。
何も起きないときには、ほかの学年のクラスに練習試合を申し込んでいました。先輩の歌には手本を示され、後輩の前では手本を示さなくてはいけません。
はじめは生徒たちは「いじわるだ!」とブーブー文句を言いますが、練習試合のあとには必ず成長がありました。
練習試合を申し込みや時間の調整、場所の確保などは学級担任の手間になってしまいます。
子どもたちは学級担任の自己満足を満たすために歌っているのではありません。自分たちのクラスのために、そして保護者や観客のために頑張っているのです。
その頑張りを信じてあげられるのは、学級担任しかいないのです。音楽の先生ではないからこそ、学級担任だからこそ、クラスのためにできることがあります。