GIGAスクール構想が2019年12月にスタートして、学校で一番変わったことは、生徒全員がいつでもタブレットを使うようになったということではないでしょうか。
それに合わせて、我々教員もどんどんとICTに習熟してきたように思います。先生方もタブレットを使って授業するのが普通になってきました。
むかしは「プロジェクターを使って授業しています。」なんて言うと珍しがられましたが、今では逆の意味で珍しいかもしれませんね。
「GIGAスクール構想」とはどのようなものか。
さて、浸透してきたからこそ確認しておきたいこと。
GIGAスクール構想とは何なのか。簡単にまとめておきます。
GIGA・・・Global and Innovation Gateway for All の略。
GIGAスクール構想
児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想
この構想を具現化する第一歩が、1人1台端末、つまり「タブレット」ということになったわけです。
新学習指導要領が求めていることはなにか。
中学校で令和3年度から全面実施となっている新学習指導要領ですが、こちらも要点を押さえておきましょう。
多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、子供たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実が図られることが求められる
「社会に開かれた教育課程」とか、「評価の3観点」とか、「教科ごとの見方・考え方」とか、いろいろあるのですが、今回は上記の「個別最適な学び」と「協働的な学び」にフォーカスします。
タブレットで個別最適な学びと協働的な学びを実現する
今回結びつけたいのはここです。つまり2020年に一気に進んだGIGAスクール構想を実現する「タブレット」を活用して、2021年に全面実施となった「個別最適な学び」と「協働的な学び」を授業のなかで実現しようということです。
ちょっと強引に式を書くとこうでしょうか。
GIGAスクール構想 + 新学習指導要領 → タブレット
タブレットで「個別最適な学び」を実現する
ICTを活用するときに大切な視点は、生徒が自分の学習状況に合わせて、自由にタブレットを使える場面を設定するということです。
授業中、先生が指示をして一斉にタブレットを立ち上げ、アプリを開くことはあります。
しかし、学習活動において、本当にタブレットを効果的に活用するというのは、生徒が自分の好きなタイミング・場面でタブレットを使えるということです。
例えば、クラスの中で、タブレットを使っている生徒もいれば、紙のプリントを使って学習している生徒もいるという状態です。
生徒自らが主体的に学ぶ手段を選べる環境にあることが大事です。これこそが「個別最適な学び」の実現につながります。
タブレットで「協働的な学び」を実現する
タブレットの画面はまだまだ小さいかもしれませんが、全員がもっていることでだいぶ扱いやすくなりました。
以前だと「班で話し合ったことをホワイトボードに書きましょう」と指示したら、結局、班のなかで1人が黙々とホワイトボードに書いている、なんていうことがありました。
そこで、大きな模造紙に一人1本マジックペンをもって書いていくなんていう試みもされました。紙の上下を無視するので字が逆さまになるなどの課題もありました。今でも、付箋KJ法などを併用しながらやっているかもしれません。
しかし、高速通信が安定してきた現在だと、アプリの共同編集機能などを利用して同じことができます。むしろ、各自が好きなところに好きなことを書き込めるので、見やすさも向上しています。
はじめは友達の書き込みをいじれることに、面白半分、ふざけ半分のこともあるかもしれませんが、それに対して声に出して「やめてよ」とか「そうじゃないよ」と言っているうちに、しだいにその機能の有効性を生徒自身が理解していきます。
別々のタブレットを見ていても、近くに座っているので声はすぐに届きます。タッチペンやキーボードよりも速く伝わるのです。
友達からの声、意見が届くことで交流が生まれ、自分とは違った視点に気づき、自分の考えを修正したり、強化したりしていきます。ここに協働的な学びが生まれます。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」を同時に
「グループ学習をしましょう。」と言ったときに、タブレットを使うタイミングを自由にした上で、一人で学習する生徒がいたり、周りの生徒に相談しながら学ぶ生徒がいたりする、という状態が「個別最適な学び」かつ「協働的な学び」も同時に生まれているとも言えます。
タブレットへの順応は、教師よりも生徒のほうがはるかに高いですね。共同編集はふざけあってしまうから嫌だ、SNSのようにトラブルのもとだから心配だと思う先生もいます。
しかし、授業の主体は「生徒」です。教師自らのレールに生徒を乗せるのではなく、海を渡る生徒に航海の道具を選ばせるのです。
これからの先生の役割は、学習の仕方を生徒自らが決められるように授業をつくることです。やはり、教師として大切なのは「課題設定」であり「発問」です。これからも研究と修養を積んでいきましょう。