【初任研】07「生徒指導の全体計画」へのコメント

 初任者研修

初任研担当として、初任者研修の報告書へコメントを書いていました。

指導の先生からさまざまなことを教わったり、授業や学級で実践したりして、多くのことを学んでいると思います。

わたしからは別の視点でメッセージを伝えられたらなと思っていました。

指導の先生や初任者の先生が書いたことは書いてありませんので、ご了承ください。

 

「生徒指導の全体計画」へのコメント

生徒指導は、生徒が周りの他者・集団とともに生きていくうえで欠かせない力を身に着けさせる機会です。授業、休み時間、放課後、行事、部活動、あらゆる場面で成長のチャンスがあります。

信頼関係をベースに、あたたかい人間関係を築き、生徒を勇気づけてください。先生の近くにいる生徒もその奥にいる生徒にも手、声、視線を届けてください。

 

コメントの意図を解説します

生徒指導は学習指導とともに、教員の仕事のだいじなところです。

現在の生徒指導は、昭和に行われていた「悪いことをしたら叱る」というレベルではないです。

まず基本的な姿勢として、生徒が悪いことをしないでいいように、積極的な生徒指導、予防的な生徒指導、前向きな生徒指導というものが求められます。それも、いつでもどこでもそうあってほしいと思います。

 

「勇気づけてください」という言葉にはアドラー心理学の思想が込められています。そして、最後の一文に、私の考えを込めています。

小学校、中学校の先生の周りには多くの子どもたちが集まってきます。朝、授業の終わり、休み時間、子どもたちに囲まれた先生が、その一人ひとりに一生懸命対応しています。相槌したり、返事したり、言葉を返したり。若い先生、人気のある先生の光景です。

わたしはそんなとき思うのです。こうやって先生の周りに集まってくる子どもたちの外側には、教室の隅の方には、先生に近寄って来れない子どもがいるのではないか、と。

 

先生への距離感で、子どもは自分の優位性を取ってきます。つまり学級のなかに上下を作ろうとするのです。先生に近い子はヒエラルキーの上で、近寄れない子は下層にいると感じさせるのです。

アドラーはそれを良しとしません。人間関係を上下にするのではなく横に見ます。対等なのです。平等なのです。先生に近かろうが遠かろうが関係ありません。子どもを平坦に見ます。

だから、遠くにいる子にも声をかけます。声が届かないときは視線を送ります。あなたのことも見ているよと微笑みかけるのです。その子はなにも言いません、言ってきません。ただ、目線が合ったことだけに満足して、また自分の世界に戻っていきます。それでいいのです。先生の姿勢は伝わります。

 

帰りの学活で「さようなら」をしたあと、私は教室でモタモタします。窓の鍵を確かめたり、余ったプリントをトントンしたり、画鋲を押し直したり、ちょっとしたことをします。

ほとんどの生徒は部活動のために教室をどんどん出ていきます。元気な活発な子たちです。

そして最後の数人が出ていくとき、「今日はどうだった?」と声を掛けます。そんな最後に出ていく子は、往々にして、教室の隅で目線を交わした生徒でした。