学級にはそれぞれの学級担任の考えが反映されます。
今回は「黒板を消し忘れたら日直をやり直しになる」というよく聞くルールについて、わたしの考えを書きます。
先生方はどうしていますか?職員室や学年会での話題にしてもらいたいと思います。
授業のあと、日直が黒板を消し忘れてしまいました。
理科室で授業したあと、日直が黒板を消さずにみんなと一緒に出て行ってしまうことがあります。
生徒がぞろぞろと理科室を出ていくとき、生徒が次のような会話をするときがあります。
Aさん「あー、○○くんが黒板消してな~い。」
Bさん「あ、ほんとだー。日直やりなおしだね~。」
とか、
Cくん「あ、○○さんが黒板消し忘れてるぞ。」
Dくん「連続○日、やり直しじゃん。あははは」
とか、
Eくん「また○○くんが黒板消してなーい。」
Fくん「いいよいいよ。言わないでおこう。日直やりなおしだもん。」
とかです。
日直の生徒が仕事を忘れて出て行ってしまったのです。
「日直が黒板を消す、忘れたらやり直し」はよくあるルール
日直が「黒板を消す」というのはよくある仕事ですね。
また「仕事をし忘れると日直をやり直しになる」というルールもよく聞きます。
黒板を消し忘れたことに気がついて、慌てて戻ってくる生徒もいれば、すっかり忘れてしまって次の授業に行く子もいます。
代わりに消してくれればいいのですが、指摘した生徒たちも行ってしまうことがあり、残された私としては「・・・。」です。
「代わりに消してくれないかな?」とお願いできることもあれば、次が給食や体育だったりすると「いいよいいよ、早く行きなさい。」と見送ることもあります。
実験のある授業が連続していると、一つ仕事がふえるのは焦りますね。

この薬品をしまい、あの薬品を溶かして、あっちの試験管は乾燥させて…あとは黒板っ!

前もってすべての実験の準備ができればいいんですけど、現実は厳しいです。
で、話題にしたいのは、この「日直が黒板を消し忘れたら、もう一日やり直しになる」というシステムです。
私が知っている先生の多くがこのルールを使っています。
当番としての責任感を持たせるためなのだと理解しています。だから「どうしてですか?」と聞いたことはありません。
以下は私の勝手な考え(学級経営方針)です。
「日直が黒板を消し忘れてもやり直しにならない」というクラス
うちのクラスでは、「日直が仕事を忘れたら、もう1日やり直しさせる」ということはしていません。黒板を消し忘れてもやり直しにはなりません。
4月当初(黄金の3日間)に、
「日直の仕事を忘れているのに気付いたら、教えてあげるか、代わりにやってあげること。」
というルールを設定、宣言しているからです。
そのため、慌てて戻ってきた生徒からは、
「ごめーん、代わりに消してくれたの?ありがとー。」
「わりー、うっかりしてたー。助かった~。」
という言葉が出ます。
代わりに消した生徒は、
「あー、やっといたよ。だいじょぶ、だいじょぶ。」
「いいのいいの、このあいだやってもらったからさ。」
と返しています。
学級日誌には、
『日直の仕事を忘れそうだったが、声をかけて教えてくれた友達がいた。』
『友達が日直の仕事を手伝ってくれた。ありがたかった。次は忘れない。』
『日直の仕事を忘れたのに、友達が代わりにやってくれた。私もマネしたい。』
といった感想が書かれていることがあります。

つぎの時間、部活の練習メニューのことで、先生のところに来るよう言われてたから、つい忘れちゃって。

今日は日直と、給食当番と、放送委員会と、いろいろ重なってキツかったな。さすがに4校時目おわりはハードすぎる…。
こういうことって、どの生徒にも起こり得ることです。誰にでも失敗はあるし、段取りの難しさはあるし、現実的に無理なこともあるはずです。さっきのかに先生みたいに、大人でも教師でもあることです。
ほかのクラスだと、慌てて戻ってきた生徒が、代わりに黒板を消してくれた友達に向かって、
「あー、消しちゃったの?なんでだよー、日直やり直しになったじゃないかー。」
あげくの果てには、
「あー、消された。もういいや、もうやらない。どうせもう一日やり直しなんだから。」
なんて言葉が出てきます。
友達が困っていたら助ける。それが当たり前のクラス、それがふつうの考えになってほしい。
私は教室で「友達が困っていたら助けるのが当たり前だよね?」と話しています。
「困っていたら助けるし、忘れていたら声をかけて教えてあげる。クラスメイトとして、当たり前じゃないか?」
「友達が失敗しそうになっているのを、黙ってシメシメって見てるの?そんなのおかしくないか?」
「クラスとして、みんなで日直に協力しないんだったら、先生はそのときは怒るよ。」
「部活のときチームメイトのミスをみんなでカバーするでしょう。クラスメイトも同じだよね。」
というような話をしています。
「もちろん、誰かがやってくれるからいいや。なんていうのはもっと怒るけどね。」
と念のために言っておきます。
私は「連帯責任」というのは好きではないのですが、このルールはある意味では連帯責任です。
ただ「誰かが失敗したら全員で責任を取る」のではなく、「誰かに失敗させたら全員で責任を取る」という連帯です。
責任を取るというのは、帰りの会の先生の話が長くなるということです。生徒が失敗するのは学級担任の責任です。学級経営方針が理解されていないのですから、先生が責任をとって諭すのです。誰も得をしません。
「自分たちの教室の黒板だよ。自分たちの目の前にある黒板だよ。自分たちに勉強を教えてくれる黒板だよ。どうしてそのままで次の授業を迎えるの?」
「どうして声も出せないの?たった一言でクラスに貢献できるんだよ。『黒板消してないよ』『黒板消して』って言うだけだよ。」
「どうして誰も動けないの?気づいた人がやってもいいでしょ?何人かで声かけあってササッと消せばいいだけでしょ?」
こうしたほうが、クラスとしてまとまろうとするのではないかと考えています。
そして、だからこそ、自分の仕事は自分で責任をもってやろうと思うのではないか。
一度失敗したからといって投げ出したりせずに、なんとか挽回しようと頑張るのではないか。
「友達のために」「友達のおかげで」という考えになるのではないか、と考えています。
友達が困っていたら助ける。それが当たり前のクラス、ふつうの考えになってほしいと思っています。
職員室で話すと「先生は甘いんだよ。」と怒られそうで、あまり話せません。
自分としては、学級経営に対する考え方の違いだと思っています。
担任として、悩みに悩んで、考えに考えて、学級経営しているんですけどね。
先生方はどうしていますか?ちょっと立ち止まって考えていただければと思います。