【詩】 「学ぶ」 谷川俊太郎

「学ぶ」  谷川俊太郎

あなたは学ぶ
空に学ぶ
空はすでに答えている
答えることで問いかけている

わたしは学ぶ
土に学ぶ
隠された種子の息吹
はだしで踏みしめるこの星の鼓動

あなたは学ぶ
木に学ぶ
人から学べぬものを
鳥たちけものたちとともに学ぶ

わたしは学ぶ
手で学ぶ
石をつかみ絹に触れ水に浸し火にかざし
愛する者の手を握りしめて

あなたは学ぶ
目で学ぶ
どんなに見開いていても見えぬものが
閉じることで見えてくること

わたしは学ぶ
あなたから学ぶ
わたしと違う秘められた傷の痛み
わたしと同じささやかな日々の楽しみ

わたしたちは学ぶ
本からも学ぶ
知識と情報に溺れぬ知恵
言葉を越えようとする言葉の力を

そうしてわたしたちは学ぶ
見知らぬ人の涙から学ぶ
悲しみをわかちあうことの難しさ

わたしたちは学ぶ
見知らぬ人の微笑から学ぶ
喜びをわかちあうことの喜びを

研修会の最後に紹介されました。

本で読んで知っている詩ではありましたが、久しぶりに読んでみると、そして今回の研修のあとで読むと、非常に深く感じることができました。

というわけで、自分のブログにも記録として残しておきます。

こういういいものは自分の手元、つまり手帳とかに挟んでおきたくなります。